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【入門】顧客管理とは?管理の重要性やメリット・3つのツールを紹介
更新日: 2024年5月28日
顧客のニーズや価値観が多様化している現代では、顧客データを分析し、顧客目線に立った施策を展開していくことが、ビジネスを拡大する上で大変重要です。とはいえ、データ分析を行う前段階として、まずは顧客データを適切に管理しなければなりません。
本記事では、顧客データ管理の概要から、陥りがちな課題と対策、代表的なツールに至るまで、網羅的に解説しています。
本記事をお読みいただくことで、顧客データ管理の基本を理解することができます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
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顧客データ管理(顧客管理)とは、顧客の情報(データ)を組織的かつ効率的に収集・蓄積・共有・分析できるようにする取り組みのことで、「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」とも呼ばれます。
顧客管理で扱う情報はBtoBとBtoCで異なり、BtoBでは企業情報と担当者情報、BtoCでは個人情報が必要です。
BtoBのビジネスで顧客が企業であれば、会社名、住所、電話番号、メールアドレス、代表者名、業務内容、従業員数、資本金、コンタクト情報、訪問履歴、ホームページURLなどの項目が必要です。
一方、BtoCのビジネスで顧客が消費者の場合は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、性別、注文履歴/購入履歴/問い合わせ履歴、利用金額、キャンペーンやアンケートなどに対する反応、誕生日などの項目があるとよいでしょう。
こうした顧客データを収集し、適切に管理することがデータ分析やデータ活用のために必要な土台となります。
顧客データ管理の目的は、顧客データを分析し、顧客のニーズに合った提案やマーケティング活動をすることで顧客満足度を向上させ、自社の売り上げを長期的に最大化することです。
たとえば、顧客の購買行動を分析して優良な顧客を洗い出し、その顧客をターゲットにした新しい商品やサービスを提供して、自社の業績向上を図ります。また、購買や契約に至っていない顧客に対しては、その原因を探ることで効果的なアプローチが可能になります。
近年、多くの企業が顧客データ管理に取り組んでいる理由としてデジタル技術の進歩が挙げられます。
従来のマーケティングでは、アンケート調査などで消費者の行動や意識などを把握していました。しかし、デジタル化が進んだ現代では、現実での顧客の行動データをデジタル上の顧客IDに紐づけてオンラインとオフラインの両面から顧客情報を収集・分析し、顧客それぞれに最適化された広告などを表示・配信することも可能になっています。
また、顧客ニーズの多様化も進んでいるため、もはやこうしたテクノロジーの力をどれだけうまく活用できるかが、他社との競争の勝敗を左右すると言っても過言ではありません。
特にBtoB企業では、企業情報のほかに支店、部署、担当者など、多様な情報を整理・管理しなければいけません。つまり、この複雑なデータを扱いやすい形で整理・管理できれば、業務の効率化が図れるだけでなく、顧客に適切なアプローチができるため顧客満足度向上が期待できます。
HubSpot Japan社による調査では、購買意思決定における最重要要素が「信頼できる」ことであるということが示唆されました。 この傾向は今後も続いていくことが予想されます。
Q.ビジネスシーンにおいて、あなたはどのような印象を持つ会社のサービスや商品を購入したいと思いますか?
A.
◯信頼できる(1位・41%)
◯製品の品質が高い(2位・30%)
◯価格に見合う製品やサービスを提供している(3位・28%)
上記の回答が得られており、顧客データの管理を徹底し、顧客の信頼を保つ重要性がわかります。
HubSpot Japan株式会社が発表した「日本の営業に関する意識・実態調査2023」によると、顧客の管理方法が「明確でない・わからない」と回答した営業組織は31.0%となっており、2022年の31.4%と比較してほぼ改善のない数値となっています。また、顧客管理のためのシステムであるCRMを導入している営業組織は、36.1%と2022年の34.8%から微増となっています。
この調査結果から顧客管理に課題や期待を抱え、CRMを導入する企業自体は増えているが、顧客管理の効率化にはつながっていないという日本の営業組織の実態が見えてきます。CRMのような顧客管理ツールは活用できれば高い効果が期待できますが、まずは顧客管理の基本から理解しておくことが肝要です。
上記のように顧客データ管理の重要性が高まっている一方で、データの増大や多様化などに伴って、適切にデータ管理するための難易度も高まっています。
下記にて、顧客データ管理において起こりがちな課題と、顧客データ管理を適切に行うための対策を紹介します。
顧客データ管理で陥りがちな課題の代表格が「データのサイロ化」です。データのサイロ化とは、データが部署ごとやシステムごとに分断され、ほかからは利用できないようになっている状態を意味します。要するにデータがあちこちに散らばり、統合的に管理できていない状態のことです。特に日本の企業は縦割り組織が多く、各部署で独自のデータ管理をしてきたことでデータの連携がしにくいことが問題視されています。
データが各部署にバラバラに存在するとデータが重複しているおそれがあるため、システム全体が使いにくく、正確なデータ分析にも時間がかかるため、ビジネスチャンスを失うことにもつながりかねません。
また、データのサイロ化は管理コストの増大も招きます。複数の顧客データシステムを連携させて使いやすくするには資金と時間が必要です。特に連携すべきシステムが多いほど、システムの構築に手間がかかり、コストも発生します。
では、どのようにデータ管理を構築すればよいのでしょうか。ポイントは「データの一元管理整備」と「データの管理・運用部署の決定」です。
まず、データを一元管理できるように各部署に散在するデータを突き合わせ、ひとつのデータベースに集め直す作業をします。このとき、顧客データを利用する部署間でどのデータをどのようなフォーマットでまとめるかを調整することが大切です。
また、データの管理・運用を主導する担当部署を決めましょう。一元化された顧客データは、その後も統一的に管理し続ける必要があるため、責任を持って顧客データを管理・運用する部署を明確化します。とはいえ、特定の部署だけに都合のいい形で管理すると他部署で使いにくくなる可能性があるので、データをどのように管理運用していくかは部署間で協議し、どの部署にとっても使いやすいものになるように努めましょう。
顧客データを効率的に管理するためには、ITツールの活用が必須です。顧客データの管理に役立つツールはCRMを筆頭に複数あります。そこで以下では、顧客データ管理に活用できる主なツールを紹介します。
顧客管理に役立つツールと言えば、CRM(顧客管理システム)を真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。CRMは、マーケティングや営業活動を通して獲得した顧客のデータを一元管理するのに特化したツールです。特に既存顧客のデータ管理や関係維持に役立つツールがほしいならCRMが有力な選択肢になります。ただし、CRMはデータ活用のための基盤という性質が強いため、導入効果がわかりにくいです。また、導入や運用にコストがかかるため、CRMシステムを導入する際には自社の事業規模や組織構造に合ったものを選ぶことが重要です。
参考記事:CRMとは?メリットや導入手順、CRMツールの選び方を紹介▶
MAはマーケティング業務の支援に役立つソリューションです。MAは見込み客や離脱顧客の獲得、育成、管理を行うのに適したツールで、メールや広告配信などのマーケティング業務を自動化したり、それらの施策に対する顧客の反応を分析したりする機能を搭載しています。つまり、MAは顧客管理よりもマーケティング業務の効率化にフォーカスしたツールのため、顧客管理をより効果的に行うならば、CRMと連携させるのがおすすめです。
参考記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?基本機能や導入方法、定着のポイントを解説!▶
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は営業活動をサポートしてくれるツールです。案件の進捗状況や商談の履歴、営業担当者の行動履歴など、営業部門で役立つデータが管理対象のため、主にBtoB領域で活用されます。
また、見積書作成や日報作成、タスク管理など、営業活動に付随する機能が備わっているので効率的に営業活動が行えます。なお、SFAにはマーケティング機能が搭載されていないため、リードの獲得などを求めるならばMAとの連携をおすすめします。
参考記事:SFA(営業支援システム)とは?基本機能や導入方法、定着のポイントを解説!▶
簡易的な顧客管理ならば、Excelで行うのもひとつの手段です。Excelは多くの企業で使われているため、従業員にとっても馴染みやすい管理方法であり、導入費用も抑えられます。また「条件付き書式」や「並べ替え」の機能を使えば、重複データのチェックも可能です。ただし、本格的に顧客管理を行いたいのであれば、Excelでは限界があります。
たとえば、Excelでの同時編集は機能に制限があるため、快適な顧客データ管理を求めるならやはりCRMなどの専用ツールの導入が望ましいです。
CRMのようなツールを活用してシステム上で顧客データを管理するメリットとしては、次のことが挙げられます。
専用のシステムで顧客データを管理することで、業務効率の向上につながります。CRMのような専用ツールは、データの入力作業や確認作業も簡単で、顧客管理に必要な作業を少ない労力や時間で済ませられます。特にクラウド型のツールであれば、タブレットやスマホからでも情報の更新や確認が容易にできるので、外回りのときでも業績を高めることが期待できます。
顧客データの管理は経営に還元することが可能です。顧客データを分析すれば、顧客ごとの商品・サービスの利用傾向や、どの顧客からどれくらいの利益が見込めるのかといったことも把握できます。こうした情報はマーケティングや営業などの戦略立案や現状の評価をする際に大いに役立ちます。また、各顧客の正確なデータをすぐに確認できるため、迅速な顧客対応が可能となり、顧客満足度の向上にもつながります。
個人情報が含まれる顧客データは企業が扱うデータの中でも、もっとも安全に管理しなければなりません。万が一流出してしまうと、自社の社会的信用は大きなダメージを受け、訴訟などに発展するおそれがあります。
しかし、自社サーバーで万全なセキュリティ対策をするにはコストがかかります。その点、クラウド型の顧客管理ツールであれば、不正ログイン対策や脆弱性対策などの高度なセキュリティ機能が搭載されているため、不正流出などのリスクを抑えることが可能です。また、クラウド型システムならデバイスの紛失・盗難に起因する情報流出も防げます。
顧客データ管理(顧客管理)を行うには、社内でデータを一元管理できる体制をつくることが重要です。簡易的に管理するだけならばExcelでも対応できますが、業務効率の向上や経営に活かす顧客データ管理を目指すなら、CRMをはじめとした専用ツールを導入することをおすすめします。本記事を参考に、ぜひ顧客データ管理に取り組んでみてください。
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
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