- 名寄せ・データクレンジング
【2024年最新版】データクレンジングのやり方とは? 手段や進め方のほか注意点も解説
更新日: 2024年3月27日
蓄積された膨大なデータを効率的に活用するには、データクレンジングを行うことが必要不可欠です。表記ゆれや誤りのあるデータをそのまま使用してしまうと、データの分析精度が下がり、マーケティング・営業施策の意思決定に大きな影響を及ぼす可能性があります。データクレンジングを定期的に行うことで、より信頼性の高いデータベースを構築することができます。
本記事では、データクレンジングを行う目的や具体例、得られるメリット、進め方などを解説します。
ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
目次
こちらの記事もおすすめ!
データクレンジングとは、データベースにおける様々なデータを整理し、活用に支障が起きないよう最適化することです。具体的には、入力ミスや間違った配置、欠損値などの不正確なデータや無関係なデータなどを特定し、修正を施します。
データクレンジングが行われていないデータは、検索に引っかからなかったり、情報が不正確だったりして営業活動に関わらず幅広い業務に悪影響を及ぼすことも考えられます。このことからデータクレンジングはデータ処理において重要なプロセスであり、データの価値向上につながる対策です。
データクレンジングと似た言葉に、「データクリーニング」や「名寄せ」と呼ばれるものがあります。まず、「データクリーニング」は、データクレンジングの言い換えであり、ほぼ同義語と捉えて問題ありません。
一方で、「名寄せ」とは、一覧化されたデータなどにおいて重複している部分を削除し、ひとつにまとめることを言います。データクレンジングとして使われるケースもありますが、多くの場合、データクレンジングはデータの修正が主で、名寄せは重複データの整理や削除を主に行うというように使い分けられます。
データクレンジングの目的は、顧客データベースの品質を担保することでデータ分析精度を向上させ、マーケティングや営業施策における意思決定の正確性を高めることにあります。きれいなデータベースを維持すること自体が目的ではなく、施策決定のための分析に"使える"データベースを作ることが最も重要です。
しかしながら、データ活用において「データの型やフォーマットが不揃いである」「データ入力が徹底されず欠損している箇所がある」といった課題はよく見られます。このような不正確で一貫性のないデータは信頼性が低く、意思決定に悪影響を及ぼす可能性があります。また、信頼性の低いデータは「ダーティデータ」とも呼ばれ、手間やコストがかかる可能性や、最悪の場合、顧客の信頼を失う恐れも考えられるでしょう。データクレンジングは、このようなリスクを回避するための重要な対策になります。
実際に、データクレンジングが必要となるデータの例を見てみましょう。
下の画像は、社名や担当者名、住所や電話番号といった顧客データベースにおける基本情報のデータを表しています。
こちらを見ると、それぞれの表記方法やフォーマットの違いによって、同一の情報にも関わらず別のデータと判定されてしまうなど、分析に使いづらいデータベースとなっていることがわかります。
それぞれ、下記4つの原因で表記ゆれが発生しています。
① 株式会社と(株)の不揃いや前株・後株の誤り
② スペースの有無や字体の違い
③ 正式・略式および全角・半角の混在
④ ハイフンや()、市外局番の有無や未入力箇所の存在
上記のようなデータが生まれる原因としては、複数の営業担当やマーケティング担当がデータを入力していて、入力ルールが統一されていないことが考えられます。これらの不揃いや誤りを修正し、データの一貫性や正確性を向上させることがデータクレンジングの役割です。
データクレンジングを行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、代表的な4つのメリットを解説します。
1つ目は、生産性向上です。
データクレンジングによりデータが最適化されることで、部署内だけでなく企業全体の生産性向上が見込めます。反対にデータに不備がある場合、必要なデータを抽出することも困難になるだけでなく、不備を見つけるたびに修正が必要になってしまいます。
データクレンジングにより事前にまとめてデータを整理しておくことで、データを利用する業務の際に逐一修正する必要がありません。無駄な作業が減ることでコア業務に集中でき、同じ労働時間内においても生産性が高まります。加えて、従業員は無駄な作業に対するストレスがなく快適に仕事ができることで、満足度も向上するでしょう。こうしたことから、最終的には企業全体の生産性向上が期待できます。
2つ目は、データ分析精度の向上です。
精度の高いデータ分析は、分析のもとであるデータの一貫性や正確性が重要なポイントです。顧客データを活用したマーケティングを行うには、精度の高いデータ分析が求められます。データクレンジングにより不足や誤りの箇所を修正し、データ形式を統一化しておくことで、より高精度なデータ分析が可能です。これを定期的に行うことで、利益につながる顧客の発掘など、効果の高いマーケティング施策が実現できます。
加えて、マーケティングの成果をデータ化して効果測定する場合にも、データクレンジングのメリットが得られます。自社が保有するデータを使って高精度なデータ分析を行いたい場合は、データクレンジングが重要な対策のひとつであるという共通認識を社内で醸成することも大切です。
3つ目は、意思決定力の向上です。
自社が持つデータのクオリティは、健全な意思決定および効果の高いマーケティング戦略の策定に影響を与えます。例えば、参照するデータに誤りや不足部分、または古い情報が事前に修正されないまま残っていた場合、間違った意思決定や戦略の策定が行われてしまう恐れがあります。そのまま進行すると、情報の誤りに気付いた時には、時間と労力が大きく失われていたなどという事態にもなりかねません。誤りがなくとも、データは時間が経つにつれて新鮮さが失われ、クオリティが低下します。
シームレスにデータを活用するためには、正確な情報が必須です。定期的にデータクレンジングを行い、意思決定などに効果的な精度を維持しましょう。
最後に、データクレンジングはコスト削減にも効果的です。
第一に、データクレンジングにより統一されていないデータ形式をまとめることでデータ抽出が容易に行えるようになります。そのため、データ抽出に高価なツールを利用する必要はありません。
また、古く誤ったデータをもとにした無駄な営業活動をせずに済み、それにかかる予定だったコストも省けます。さらに、不要なデータが削除されることで、サーバーの維持にかけていたコストも減らせます。加えて、データクレンジングにより無駄な業務が減り作業効率が上がることで、これまで残業代にかかっていたような無駄な人件費を抑えられるなど、多くのメリットがあります。
データクレンジングの進め方は、企業や組織により異なることがほとんどです。ここでは、一般的な手順を簡単に解説します。
より詳しく知りたい方は、下記記事も合わせてご参考ください。
データクレンジングにおいてまず行うべきことは、データ領域を選定し、その中から重要なデータを集めることです。CSV、XMLなど、様々な形式のファイルから必要なデータだけを収集し、ひとつのデータベースにまとめます。まとめることで、これまで見えていなかったデータの関連性を発見できるかもしれません。
重要データの選定・収集におけるポイントは、集めるデータの範囲を事前に決めておくことです。関連性のないデータや更新されていない古いデータは、集めても意味がありません。逆に無駄な作業が発生する恐れもあるため、範囲を決めていたほうがスムーズにデータクレンジングに移行できます。
クレンジング本番に移る前に、データを整え不必要な箇所を削除します。「名寄せ」と呼ばれることもあり、データクレンジングの一部として捉えられることもある工程です。不必要な箇所とは、主に重複しているデータを指します。
続いて、データクレンジングの重要項目である、データの修正や修復です。誤ったデータや半角・全角などの修正・統一、抜けているデータの追加、古いデータの更新などを行います。また、今後集められるデータが管理しやすくなる仕組みを作ることも重要です。データ入力方法を見直し、誰が入力しても統一性が保てるよう、データの収集・入力方法をマニュアル化するのも良いでしょう。
クレンジングにより一元化されたデータは、マーケティング活動や顧客対応のリストとしても活用できるようになります。そのデータを、一定ルールのもと抽出してリスト化する作業を行います。
この作業はクレンジング後のデータ処理であり、データを活用する目的やデータの種類が何かによって整理方法も変わります。今後の使い道を考えてルールを定義し、整理し直しましょう。
データクレンジングは一度行って終わりではありません。データが増えたり新事業を展開したりするタイミングで定期的なクレンジングを行うことで、精度の高いデータを維持できます。
一方で、クレンジングを毎回異なる方法で行うと、データにも悪影響を及ぼしかねません。それを避けるには、プロセスを標準化することが重要です。具体的には、実施のタイミングや責任者を決定してマニュアル化すると良いでしょう。プロセスを標準化して社内全体で共有することで、効率的にデータクレンジングを行うことができます。
データクレンジングは、自社データの整理・管理や効率的なデータ活用に欠かせないプロセスです。実施することで、高精度なデータ分析が可能になり、意思決定やマーケティング施策の策定など、ビジネスにおけるデータ活用の効果をさらに高めることができます。
また、生産性の向上やコスト削減、意思決定環境の向上といったメリットもあります。自社データの精度や業務効率の低さに課題感がある場合は、データクレンジングの実施が効果的です。
クレンジングの進め方は業種や業態で異なることもありますが、データ領域の選定から収集、修正、整理といった流れが一般的です。データクレンジングのプロセスを標準化して定期的に行うことで、よりデータの信頼性・一貫性を保つようにしていきましょう。
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナー株式会社では、BtoB企業の市場開拓におけるデータ活用の実態について、経営企画職の方500人を対象にアンケート調査を実施し、レポートにまとめました。 営業・マーケティング活動を強化・改善していくためのヒントやきっかけとしていただければ幸いです。
フォームに必要事項をご記入いただくと、無料で資料ダウンロードが可能です。
サービスやイベントに関する情報の受け取りはいつでも停止することができます。当社規定に関しては、「プライバシーステートメント」をご確認ください。
ユーソナーは業種・業界問わず
様々な企業において活用いただいております。
ITreview Grid Award 2024 Summer
リーダー認定4部門
Salesforce Japan Partner Award 2023
AppExchangeビジネスの中で最も秀でたパートナーと評価