- 与信・反社チェック
【2024年最新版】反社チェックの方法は?反社チェックの概要と重要性
更新日: 2024年5月15日
近年では、反社会勢力の排除を目指した政府指針が発表され、暴力団排除条例が施行されるなど、「反社チェック」の重要性が高まっています。企業としても、コンプライアンス遵守が重要視される中で、反社会勢力を排除すべく手段を尽くす必要があります。
本記事では、反社チェックについて、企業がチェックしなければならない範囲やタイミング、万が一判明した場合の対処方法などを詳しく解説しています。
社会的信用を守り、リスクを回避するためにも、正しい知識と対応策をこの機会に学んでおきましょう。
目次
「反社チェック」とは、「コンプライアンスチェック」とも呼ばれる、取引開始前に取引先が反社会勢力に当てはまっていないか、反社会勢力と関係のある団体でないかを確認することです。反社会的勢力とは、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する」個人やグループです。暴力団、暴力団に関係する企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団などを指しています。
暴力団以外にも、繁華街や歓楽街などで集団的または常習的に暴行、傷害などの暴力的行為を行っている「準暴力団」や、表面的には暴力団との関係を隠しながらも実際には暴力団との関与がある「共生者」も、確認しなければならない相手に含まれます。
反社会的勢力との取引は、相手に違法な活動を行うための資金を提供してしまうことにつながります。取引自体は法的に問題ないように見えても、その取引によって自社の資金が反社会勢力の手に渡れば、暴力団の抗争や違法薬物の密輸、一般市民が被害を受けている詐欺などの犯罪に利用されてしまうかもしれません。
こうした反社会的勢力の活動を最大限に抑えようという取り組みは多くの企業に受け入れられ、この風潮に反して反社会的勢力と取引をすることは企業にとって大きなリスクとなりました。
ただし、反社会的勢力でも表面的には一企業としての経済活動をしているだけに見える組織もおおくあります。調べてみたら実際には犯罪活動を行っている組織だったというケースも多いため、注意が必要です。
たとえ相手先が反社会的勢力だと知らなかったとしても、取引が行われていれば社会的な信用の失墜は免れません。こうしたリスクを避けるため、取引時における反社チェックは現在では必須の作業となっているのです。
犯罪行為を助長しないためにも、はじめから問題のない取引先かを確認して、問題を確認した場合には関係を持たないことが大切です。
反社会的勢力との取引には主に2つのリスクが伴います。
相手が反社会的勢力と知っていながらそれを隠して取引をした場合には、その勢力とつながりがある企業と判断され、コンプライアンス違反となります。罰せられたり行政指導を受けたりする恐れがあり、金融機関からの融資停止、上場廃止などが起こりえます。
相手先が反社会的勢力と知らずに取引をしていた場合でもリスクはあります。例えば東京都の暴力団排除条例では、知らずに取引を行っていた場合、利益供与違反に該当しないとされています。この場合は違反にならないため、罰則が与えられることはありません。
しかし、相手先のことを知らなかった場合でも、実際に取引をしていた事実は残ります。自社の信用が損なわれ、重要な取引先から関係を切られてしまったり、取引先からイメージダウンによる損害賠償をもとめられたり、経営に大きな損害が発生することがあります。
こうした罰則や社会的信用の失墜から、経営が立ち行かなくなれば、倒産につながるおそれもあります。
もしも反社会的勢力や関連する企業と取引を行ってしまうと、相手先から不当要求を受ける恐れもあります。それと気づかずに取引をしてしまった場合、あとから気が付いて契約を解除したいと思っても、簡単には関係性を絶つことができなくなるケースが多いため注意が必要です。
契約を解除しようとすると「反社会的勢力と関わっていることを公表する」と脅されて、金銭を要求されるなど、不当な要求を受けることがあります。
なお、企業だけではなく従業員個人が脅されることもあり、なかには企業が気づかないうちに従業員が長期間被害を受けてしまうケースもあります。そのため、経営上の被害、社員への被害を未然に防ぐためにも、反社チェックは必ず行わなければなりません。
反社チェックをすべき範囲は、基本的に取引先企業や自社社員、役員、株主などです。以下では、チェックを行う範囲の詳細と、タイミングについて確認しておきましょう。
取引先企業へのチェックでは、企業そのものや役員だけでなく、その企業の大株主や顧問税理士、顧問弁護士など、重要な外部関係者も調査対象です。
新規取引先の場合は、取引前のタイミングで必ず調査しなければなりません。契約を結ぶ前までに調査結果がわからないケースもあるため、契約書には「反社会的勢力だった場合には契約を破棄する」との旨を記載しておきましょう。
相手から条項の削除を依頼されたり、署名を拒否されたりすれば、注意が必要な企業であることがわかります。また、このような「反社条項」が契約書記載されていれば、万が一反社会的勢力だと判明した場合でも即座に対応できます。
既存の取引先に対しても、調査しなければなりません。これまでは問題がなかったとしても、状況が変わって反社会的勢力に関わるようになるケースがあるからです。一度調査をした企業であっても、万が一のことを考慮して一定の期間ごとに調査しましょう。反社チェックは、最低でも3年に1度は実施する必要があります。
反社チェックをせずに契約を結び、あとから取引先が反社だったと判明した場合には、必要な注意を怠った取締役が「善管注意義務違反」となるおそれがあります。適切に調査を行わないと大きな問題が生じるケースがあるため注意が必要です。
アルバイトを含む従業員も、反社との関わりがないか確認する必要性があるといわれています。たとえまだ入社前の学生だとしても、現代ではSNSで学生と暴力団とのつながりが生じているケースがあるため注意しなければなりません。実際に、強盗傷害事件や詐欺事件などに学生が関係していた事件も発生しています。
役員の場合は、役員就任が決定してから就任前までにチェックすることが推奨されます。役員は、社内で責任ある立場におかれるため、就任してから反社会的勢力に関係していると分かってしまうと、企業の信用度にも影響します。次期役員が決定した際には、就任前に本人が過去に務めていた企業などの経歴も確認し、本人や家族、親族、家族が経営している企業なども確認しましょう。
自社の株主も反社チェックの対象に当たります。自社の株主は、株主を増やす際、変更する際に確認を行います。株主は個人だけでなく、法人や組織もチェックの対象です。組織や法人が株主のケースでは、代表者、役員、大株主、顧問税理士、弁護士など、取引先企業同様に外部の関係者まで確認する必要があります。
反社チェックの結果、反社会的勢力と判明した、もしくはその可能性が高いとされた場合には、気をつけて対処する必要があります。弁護士や警察へ相談する、相手に詳細を伝えずに取引を中止するなどの方法で、問題の発生を防ぎましょう。
もし取引先企業が反社会的勢力だった、もしくはその可能性が高い場合には、警察や「暴力追放運動推進センター(暴追センター)」に相談します。
暴力追放運動推進センターは各都道府県にセンターを設置し、暴力団の被害を受けている人の救済や暴力団排除活動の支援をしています。反社会的勢力への対応方法についての相談も受け付けています。
警察でも同様に、反社会的勢力と関係してしまった際の安全確保、危険性の少ない対応方法などについて相談が可能です。警察やセンターへの相談は、反社会的勢力の可能性が高いと気づいた時点で早めに行っておくことが大切です。こまめに連絡をとっておけば、何か問題が起きたときにも対応してもらいやすいでしょう。
弁護士への相談も、対応方法のひとつです。弁護士へ相談した場合、間に入ってもらいながら法的な対処方法で相手先と対応していきます。状況によっては、警察や暴力追放運動推進センターにも連絡をして連携してもらい、対処する場合もあります。
相手方が反社会的勢力に該当すると気づいた際には、せっかく決まりかけた取引でも止める必要があります。もし反社会的勢力と取引をしてしまうと、のちのち大きな被害につながるかもしれません。早い段階で取引の中止を相手に伝え、その後は関係を絶つことが大切です。
まだ契約を結んでいない段階では相手に取引を断る理由を伝える必要がないため、取引をしない理由については詳細を伝えずに中止にすると話します。反社会的勢力だったからなどの理由を伝えると、かえって相手から反論される恐れがあるからです。自社が伝えた理由に対して、不当な要求を向けてくるケースも考えられるため、断る経緯となった理由を伝えずに「弊社の取引審査の結果、取引ができない」などと、結論だけ伝えて話を終わらせます。
もし契約を結んだ後に反社会的勢力だと気づいたなら、契約書の反社条項のとおりに契約を解除し、損害賠償の支払いを求めることが可能です。反社条項が契約書に記載されていない場合でも、民法「契約内容の有効要件」の「適法性」により、反社会的勢力という違法な組織の契約成立は認められないとされ、契約の解除および損害賠償請求が可能な場合があります。もっとも、報復などのおそれもあるため、損害賠償請求は慎重に考えたほうがよいでしょう。
取引先が反社会的勢力と分かったときには、早めに社内で情報を共有し、警察や弁護士と相談してから慎重に話を進めなければなりません。万が一反社会的勢力から損害賠償請求をされたり迷惑行為を受けたりした場合には、警察や弁護士と相談しながら対応を検討します。
反社チェックには、自社調査、行政機関への照会、専門調査機関への依頼などの方法があります。自社調査とは、社内で調査する方法です。新聞記事データの検索、google検索などインターネットでの検索、反社会勢力情報データベースの検索などで相手方を調べます。コストは抑えられますが、専門知識がない社員が行う調査のため確実性は高くありません。検索方法を二つ以上組み合わせて調べることが推奨されています。
行政機関への照会とは、暴力追放運動推進センターへの照会などです。センターでは反社チェックの際に情報を教えてもらうことも可能です。ただし、情報を開示してもらえない場合もあるため注意が必要です。
精度の高い調査をしたい場合には、専門調査機関へ依頼する方法がおすすめです。調査機関に依頼すると、高いコストがかかりますが、自社では調べられない内容まで調べてもらえるメリットがあります。反社チェックにはさまざまな方法があるため、コストと取引リスクとを考慮して、適した方法を選ぶ必要があります。
反社チェックの方法は他にも様々あり、複数の手法を組み合わせることで多角的な視点から調査を行うことが非常に重要です。
下記記事では、反社チェックの方法を計8選ご紹介しております。合わせてご参考ください。
反社チェックは、取引先企業やその大株主や顧問弁護士など外部関係者、自社社員、役員、株主などに対して行う必要があります。実施方法としては、自社調査、行政機関への照会、専門調査機関への依頼などが挙げられます。
取引開始前や入社前にチェックすることで、反社会勢力と関係性を築いてしまうことを避けることが可能です。
もし取引先などが反社チェックに引っ掛かってしまった場合は、警察や「暴力追放運動推進センター(暴追センター)」または弁護士などに相談して、慎重に対応しましょう。
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この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
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