• インボイス

【2026年10月〜】インボイス経過措置の最新スケジュールと対応を解説!

更新日: 2026年9月25日

2023年10月に始まった「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、2026年10月1日に最初の大きな節目を迎えます。免税事業者など「適格請求書発行事業者以外の者」からの課税仕入れについて、これまで仕入税額相当額の80%を控除できた経過措置の割合が、この日を境に引き下げられるためです。

当初の予定では、2026年10月から控除割合が一気に50%へ縮小するとされていました。しかし、令和8年度税制改正によってスケジュールが見直され、2026年10月からは70%、2028年10月から50%、2030年10月から30%と段階的に縮小したうえで、2031年10月に廃止される形へと変更されています※1。「80%から50%へ」という認識のまま準備を進めている企業は、正しい割合と期限をあらためて確認する必要があると言えます。

制度開始から3年が経過し、経理部門の対応は一巡した企業が多い一方で、仕入先・取引先データに「登録番号」が正しく紐づいているか、免税事業者との取引条件をどう見直すかといった課題は、後回しにされがちです。控除割合の縮小は、これらの課題がそのまま納税額の増加として顕在化することを意味します。

本記事では、インボイス制度の転換点となる2026年10月の改正内容、経過措置の全スケジュール早見表、対応を先送りした場合のリスク、そして今からでも間に合う実務上の最初の一歩について解説します。

目次

インボイス制度を取り巻く現在地

インボイス制度は、2019年10月の消費税率10%への引き上げと軽減税率(8%)の導入によって複数税率が混在するようになったことを背景に、取引ごとの適用税率と消費税額を正確に把握する仕組みとして2023年10月1日に施行されました。買い手が「仕入税額控除」を受けるためには、原則として登録番号などが記載されたインボイス(適格請求書)の保存が必要になります※4。

制度開始にあたっては、免税事業者からの仕入れが多い事業者への影響を緩和するため、インボイスがなくても仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられました。この経過措置の第1段階(80%控除)が2026年9月30日に終了し、10月1日から第2段階へ移行することが、今回の「転換点」です。

弊社のブログでは、制度開始前から段階に応じてインボイス制度に関する記事を公開してきました。これまでの経緯を整理すると以下の通りです。

2019年10月

消費税率10%への引き上げと軽減税率の導入により、複数税率が混在。

【5分でわかる】インボイス制度導入の目的・メリットとデメリットについて詳しく解説します

2023年3月〜9月

適格請求書発行事業者の登録申請期限が2023年9月30日まで延長。制度開始前の「やるべきこと」が論点に。

【図解付き】10月までにこれをやれ!インボイス制度をわかりやすく解説!

2023年10月1日

インボイス制度が施行。買い手として仕入先の登録有無の確認、請求書の区分管理、帳簿記載方法の検討が必要に。

インボイス制度の仕入先対応を徹底ガイド!チェックリストでわかりやすく解説します

2023年10月〜

登録番号(T+13桁)の構成と、法人番号との関係の理解が実務の前提に。

【5分でわかる】インボイス制度に必要な法人番号(登録番号)とは? 検索と申請について

2023年10月〜

国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」での登録番号検索と、社名からの検索の難しさが課題に。

【5分でわかる】インボイス制度の登録番号を検索したい! 確認できる内容についても解説

2024年〜2026年

仕入先・取引先データへの登録番号付与において、登記住所と事業所住所の不一致や表記ゆれが障壁に。

【2026年最新版】事業所データを活用した「インボイス制度の登録番号」の付与とは

2026年1月

下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」へ改正・施行。免税事業者を含む取引先との価格協議のあり方に影響。

2026年の下請法改正(取適法)とは?企業が備えるべき対応ポイントと実務対策

2026年10月1日

経過措置が80%控除から70%控除へ移行。2割特例も同日で終了。

(本記事の内容)

このように、インボイス制度への対応は「制度開始前の準備」「制度開始直後の運用」「データ整備の定着」という3つの段階を経て、いま「経過措置の縮小にどう備えるか」という第4の段階に入っていると考えられます。

経過措置の全スケジュール早見表

2026年10月以降の変化を正確に把握するために、経過措置と主要な特例のスケジュールを一覧にまとめます。令和8年度税制改正で見直された部分は、改正前の予定と併記しています※1※2。

免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置(買い手側)

期間 控除できる割合(改正後) 改正前の予定
2023年10月1日〜2026年9月30日 仕入税額相当額の80% 80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 仕入税額相当額の70% 50%(2026年10月〜2029年9月)
2028年10月1日〜2030年9月30日 仕入税額相当額の50% 控除不可(2029年10月〜)
2030年10月1日〜2031年9月30日 仕入税額相当額の30% 控除不可
2031年10月1日〜 控除不可(経過措置終了) 控除不可

あわせて確認しておきたい特例・関連措置

2割特例(売り手側)

  • 内容:インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者が、納付税額を売上税額の2割にできる特例
  • 期限:2026年9月30日の属する課税期間まで

3割特例(売り手側・個人事業者のみ)

  • 内容:令和8年度税制改正で新設。基準期間の課税売上高1,000万円以下の個人事業者が、納付税額を売上税額の3割にできる特例
  • 期限:2027年分・2028年分

少額特例(買い手側)

  • 内容:一定規模以下の事業者が、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみで仕入税額控除を受けられる特例
  • 期限:2029年9月30日まで

登録手続の柔軟化

  • 内容:免税事業者が課税事業者選択届出書を提出せずに登録できる措置
  • 期限:2029年9月30日まで

経過措置の適用上限

  • 内容:一の免税事業者等からの課税仕入れについて、経過措置を適用できる金額の年間上限が引き下げられるとされています(従来の税込10億円から1億円へ)
  • 期限:2026年10月1日以降

早見表を読む際の要点は以下の通りです。

  • 「80%から50%へ」ではなく「80%から70%へ」という認識の更新
    当初の法令では2026年10月から50%控除となる予定でしたが、令和8年度税制改正により2026年10月からの控除割合は70%となりました。ただし縮小の方向性そのものは変わっておらず、最終的には2031年10月に控除不可となります。社内資料や会計システムの設定が「50%」のままになっていないか、確認することが推奨されます。
  • 経過措置の適用要件は従来と同じ
    経過措置を適用するには、区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存と、帳簿への「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載が引き続き必要です。控除割合が変わっても、この要件が緩和されるわけではありません。
  • 売り手側の特例も同時に切り替わる
    法人については2割特例が2026年9月30日の属する課税期間で終了し、延長はありません。個人事業者については3割特例へ移行しますが、負担が増える方向であることに変わりはないため、免税事業者・小規模事業者である取引先の側でも、価格や登録に関する判断が動く時期にあたると考えられます。

なお、控除割合の適用は取引日(課税仕入れを行った日)を基準に判定されます。2026年9月中の納品分と10月以降の納品分が同一の請求書に混在するケースでは、期間ごとに区分して処理する必要がある点にもご留意ください。個別の税務判断については、税理士などの専門家への相談を推奨します。

対応を先送りすることで生じるリスク・機会損失

経過措置の縮小は、一見すると経理部門だけの問題に見えます。しかし、その影響は取引先管理、購買、営業、情報システムの各部門に及びます。対応を先送りした場合に想定されるリスクは以下の通りです。

  • 納税額の段階的な増加
    免税事業者からの仕入れが年間で税抜1,000万円(消費税相当額100万円)ある企業を例にとると、80%控除の期間では控除できない額は20万円でしたが、70%控除では30万円、50%控除では50万円、経過措置終了後は100万円となります。1件あたりの金額は小さくても、取引先数が多い企業ほど累積的な負担増に繋がります。
  • 登録番号が未付与の取引先が「見えない」状態の継続
    取引先マスタに登録番号が紐づいていないと、どの取引が経過措置の対象で、どの取引が通常の仕入税額控除の対象なのかを区分できません。弊社のブログでも繰り返し取り上げてきた通り、登録番号は原則として本社単位で発番され、公表サイトの住所は登記住所であるため、事業所単位や店舗単位で取引している仕入先ほど照合が難しくなります(弊社ブログ「【2026年最新版】事業所データを活用した「インボイス制度の登録番号」の付与とは」より)。
  • 取引条件の見直しが法令リスクに転じる可能性
    控除割合の縮小分を一方的に取引先へ転嫁することは、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」や取適法(旧下請法)上の「買いたたき」として問題になるおそれがあると、公正取引委員会のQ&Aで示されています※3。協議を経ずに価格を据え置く、あるいは著しく低い価格を設定するといった対応は避ける必要があり、交渉に必要な時間を確保するためにも早期の着手が求められます。
  • 経理・購買部門の手作業の常態化
    請求書を登録番号の有無で区分し、帳簿に経過措置の適用を記載する作業を人手で続けると、控除割合が変わるたびに確認工数が発生します。2026年、2028年、2030年、2031年と4回の切り替えが控えているため、都度の手作業は中期的に見て大きな機会損失になると考えられます。

これらのリスクは、いずれも「取引先が適格請求書発行事業者かどうかを、自社のデータ上で正確に把握できているか」という1点に帰着します。

先進企業はどう動いているか

経過措置の縮小を見据えて早くから動いている企業では、以下のような取り組みが観察されています。実名は避け、業種・規模感・取り組み内容を抽象化した形でご紹介します。

  • 取引先マスタへの登録番号付与の全件化
    多拠点で仕入れを行う製造業や卸売業では、経理システムに登録番号を入力するだけでなく、購買システムやCRM(顧客関係管理)システムの取引先マスタにも登録番号を持たせ、部門横断で「登録の有無」を参照できる状態を整えています。名寄せによって同一法人・同一事業所を統一したうえで登録番号を付与することで、照合漏れを防いでいます。
  • 控除割合の変更を前提としたシステム設定の見直し
    会計・購買システムの税区分を「80%」固定ではなく、期間に応じて70%、50%、30%と切り替えられる設計に変更している企業があります。2026年10月の切り替えを、2031年までの4回の変更に耐える仕組みへ移行する機会として捉えている点が特徴です。
  • 免税事業者との協議プロセスの標準化
    取引先のうち免税事業者を抽出し、価格・登録・取引継続の方針を協議するプロセスを購買部門で標準化している企業もあります。公正取引委員会の考え方に沿って協議の記録を残し、双方が納得した条件で合意する運用を徹底することで、法令リスクと取引先との関係悪化を同時に回避しています。
  • 外部データによる登録状況の継続的な更新
    登録番号は新規登録だけでなく、登録の取消しや失効も発生します。取引開始時の確認だけで済ませず、外部の企業データベースと自社データを定期的に突合し、登録状況の変化を検知する体制を整えている企業では、経過措置の適用判定を継続的に自動化しやすくなっています。

これらの取り組みに共通するのは、「インボイス対応は経理の作業ではなく、取引先データの整備という経営基盤の問題である」という認識です。

まず何から始めるか

2026年10月1日までに残された時間は限られていますが、大規模な投資から始める必要はありません。以下の順序でスモールスタートすることが有効と考えられます。

  • 第1ステップ:取引先データの棚卸し
    経理・購買・営業がそれぞれ保有する取引先データを集約し、登録番号が付与されている件数、未付与の件数、表記ゆれや重複によって照合できていない件数を可視化します。登録番号が未付与の取引先のうち、年間取引額が大きいものから優先順位を付けることで、限られた時間で影響の大きい部分から着手できます。
  • 第2ステップ:免税事業者との取引方針の決定と協議
    未登録の取引先について、取引継続・価格の協議・代替先の検討のいずれの方針を取るかを決めます。協議にあたっては、控除割合が70%になることを前提に自社の負担増を試算したうえで、取引先の事情も踏まえた条件を双方の合意のもとで設定することが、法令面でも取引関係の面でも重要です。
  • 第3ステップ:システム設定と帳簿記載ルールの更新
    会計・購買システムの税区分を2026年10月1日以降の70%控除に対応させ、経理担当者向けの帳簿記載ルール(経過措置の適用を受ける旨の記載方法)を更新します。あわせて、2028年、2030年、2031年の切り替え日をシステムと業務マニュアルの双方に登録しておくと、次回以降の対応が容易になります。
  • 第4ステップ:登録番号付与と更新の仕組み化
    一度付与した登録番号を維持するために、新規取引先の登録時に登録番号を確認するフローと、既存取引先の登録状況を定期的に更新する仕組みを整えます。国税庁の公表サイトでの個別検索には限界があるため、企業データベースとの突合による一括付与・一括更新の導入を検討することが、中期的な工数削減に繋がります。

重要なのは「完璧なデータを待たないこと」です。2026年10月の切り替えを最初の締め切りとしつつ、2031年の経過措置終了までに段階的に整備の精度を高めていく計画を立てることが現実的なアプローチと言えます。

おわりに

本記事のポイントを3点にまとめます。①2026年10月1日から免税事業者等からの仕入れに係る経過措置が80%控除から70%控除へ移行し、2031年10月に廃止される、②控除割合の縮小は納税額の増加だけでなく取引先データの不備や価格協議の法令リスクとして各部門に波及する、③取引先データの棚卸しと登録番号の一括付与・継続更新の仕組み化が最初の一歩になる、という点です。

インボイス制度は、2023年10月の施行で終わった制度ではなく、2031年まで続く段階的な移行期間の途中にあります。令和8年度税制改正によって縮小のペースは緩やかになりましたが、方向性は変わっていません。本記事で示した早見表とステップを参考に、まずは自社の取引先データがどこまで整備されているかを確認することから始めることを推奨します。

弊社の顧客データ統合ソリューション「ユーソナー」は、独自に構築した法人企業データベース「LBC」にインボイス制度の登録番号を搭載しており、社内の取引先・仕入先データへ登録番号を一括で付与することが可能です。「LBC」という独自のコード体系による顧客情報の管理に加え、登記住所と異なる事業所や店舗単位の拠点に対しても登録番号を紐づけられるため、公表サイトの検索では照合が難しかった取引先の登録状況を継続的に把握できます。

詳細についてはぜひこちらのページから、お気軽にお問い合わせください。


※1: 国税庁「令和8年度税制改正特集」(経過措置の控除割合の推移、2割特例・3割特例、少額特例等の適用期限)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
※2: 国税庁「インボイス制度の概要」(経過措置が令和13年9月末まで設けられている旨)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm
※3: 公正取引委員会「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html
※4: 国税庁「インボイス制度特設サイト」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

-----

この記事を書いた人

uSonar

ユーソナー編集部

MXグループ・編集長

ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。

ユーソナーは業種・業界問わず
様々な企業において活用いただいております。

  • Ministry of Economy, Trade and Industry.
  • Asahi
  • BIZ REACH
  • NITORI BUSINESS
  • FUSO
  • MIZUHO
  • PayPay
  • Ministry of Economy, Trade and Industry.
  • Asahi
  • BIZ REACH
  • NITORI BUSINESS
  • FUSO
  • MIZUHO
  • PayPay
  • RICOH
  • 弁護士ドットコム
  • りそな銀行
  • SAKURA internet
  • SATO
  • 株式会社そぞん情報システムズ
  • Suzuyo
  • RICOH
  • 弁護士ドットコム
  • りそな銀行
  • SAKURA internet
  • SATO
  • 株式会社そぞん情報システムズ
  • Suzuyo

ITreview Grid Award 2026 Summer
リーダー認定6部門

  • ITreview Grid Award 2026 Summer
  • 企業データベース
    ABMツール
    営業リスト作成ツール
    セールスイネーブルメントツール
    反社チェックツール
    名刺管理ソフト

ユーソナーなら、
貴社の課題も解決へ導きます!

導入事例やサンプルレポートを
ダウンロード

すべての『資料』を見る
導入事例やサンプルレポートをダウンロード

お急ぎの方はお電話にて03-5388-7000受付時間 10:00 〜 17:00(土日祝休)

データ活用による営業DXの決定版

サービス資料

5分で分かる ユーソナー

5分で分かるユーソナー

資料ダウンロード