- 市場分析
データドリブンなGTM(GoToMarket)戦略策定
更新日: 2023年8月22日
新サービスや既存サービスの新リリースを紹介することは、自社の継続性や成長性に大きく関わるものであり、多くの興奮と期待を伴うでしょう。
それと同時に、顧客が自社の新たな取り組みを受け入れてくれるかという緊張感も生じます。自社が目指している方向性を理解してもらい、競合優位性をメリットと感じてもらうことが重要となります。
従来、この設計は「マーケティング」の枠組みの中で行われていました。しかし、これからのB2Bビジネスにおいては営業活動でもアピールをしていくことが重要です。
そこで活用されるのが、GTM(Go-To-Market)戦略という考え方です。本記事ではGTM戦略を策定する方法や、GTM戦略の策定に必要なデータについて記載します。
目次
GTM戦略とは、自社のサービスを市場に受け入れてもらうために必要なステップや見せ方のノウハウを体系化したものです。この戦略を策定することで、企業は自社のサービスの顧客像を特定し、アプローチの方法を洗い出すことができます。
自社のサービスは、その新旧を問わず、顧客に業務効率化やコストカットといったメリットをもたらすはずです。しかし、その価値は他社が容易に理解できる状況になっているでしょうか?自社のサービスの特徴やメリットだけを押し出すような販促物を用意しても、顧客が課題意識を高めることはありません。
GTM戦略を策定することによって、企業は自社のサービスを、営業・マーケ・開発といったどの部署においても、共通の理解を持って紹介できるようになります。顧客の問題はどこにあり、何がペインポイントで、それをどのように解決するサービスなのか、どういった運用方法が望ましいのかといった情報をまとめておくことで、自社が発信するメッセージを共通化することができます。
加えて、GTM戦略を運用することで、建設的な顧客フィードバックを選別し、サービスの質をさらに向上させることが容易になります。これにより、多くの顧客が評価しているポイントや競争優位性を得ているポイントに焦点を当てた追加投資を行うことができ、企業に継続的な収益性をもたらし、顧客LTVを高めることができます。
B2B企業におけるGTM戦略は、市場に投入したサービスの成功指標を設定し、計測することを可能とします。一般的には、以下のような構成になると言われています。
潜在顧客を特定し、ニーズを具体化することで、GTM戦略は策定されます。
具体的には以下のようなステップで、需要とペインポイントを明確にし、自社のサービスが入り込む脈略を可視化していきます。
サービスを必要とするような企業を「数値」「特性」「規模」などによってグループ分けします。
CRMツールと企業データベースを用いることで、より容易に行うことができます。
このグループ分けを行うことは、後のステップで進めるターゲティングやアプローチ方法の策定につながっていきます。
どの企業が購買可能性が最も高いかを、より細かく抽出していきます。
企業特徴をクライテリア化し、それにどれだけ合致しているかを定量的にマッピングしていきます。
前述のステップだけでは厳密には自社サービスの購買意欲まで計ことはできないため、購入に適さない企業も含まれているのに対し、このステップを踏むことで企業を一定の「ふるい」にかけて、注力すべき対象を特定していくことになります。
一般的には営業は顧客に直接対面しているため、現在の顧客の特徴をより細やかに捉えています。これに対しマーケティングは面で攻めているため、広く顧客像を捉えている傾向があります。営業とマーケティングの組織が連携することで、営業担当は、現在対面している会社へのアプローチ戦略に組み込むような形で、自社サービスを紹介する方法を編み出していくことができます。
「シナリオ」とは、簡単にいうと「脚本」のようなものです。潜在顧客にアプローチして購買意欲を高めるためにはストーリーを整えることが重要となります。顧客が自社と関わりを持つジャーニーマップの中で効果的なタイミングとメッセージのセットを準備しておくことで、より効率的に自社サービスのアピールを仕掛けることができます。
前述のステップで営業組織とマーケティング組織の連携方法を決めた上で、以下のような取り組みを進めていきます。
以下に関する合意形成を行います。
加えて、上記の実行を支援するためのツールやワークフローに関する取り決めを行います。
以下のような項目を含んだ図を策定します。
成約可能性を高めるために顧客状況を理解し、適切なアプローチを用いて関係性を深めていくための手段となります。
以下のような合意形成を行います。
これにより、営業組織とマーケティング組織の間で共有すべきKPIがより具体化されます。
リード創出を行うためには、そもそも企業群の情報を得る必要があります。
自社がこれまで接点を持っていた顧客からアプローチをするのか、全く新しい企業群を外部から仕入れてくるのかによって施策は変わりますが、共通するのはリードがどこからくるのかを明確にし、そのリードに対する適切なアプローチのチャネルをオンライン・オフラインの両方において定めておくことです。
上記内容を具体的な項目に直し、GTM戦略策定チェックリストを作成致しました。
以下のリンクから無償でダウンロードできますので、ご興味がありましたらお気軽にダウンロードしてみてください。
前述の通り、GTM戦略は企業の規模に問わず、以下のような多くの役割を果たします。
既存のターゲットに対して新たな価値あるいはより拡張された機能群を提供するための見せ方をまとめ、既知の購買部門の予算増額幅を試算する
未開拓市場における試験的参入と顧客フィードバックに基づく改善のループを一連の流れとしてまとめ、未開拓の購買部門を特定する
既存顧客の継続性や収益額と透過しているリソースを定量的にまとめることで、既存顧客の貢献度を数値によって可視化し、再評価する
どのような機能が自社サービスをより大きな成功に導くか、どのような機能は不要かを評価し、進化していく市場への適応能力を自社サービスに付与する
GTM戦略を用いることで、企業は限られたリソースを効率的に運用し、投下する時間やお金といったコストに対するリターンを最大限向上させることが可能となります。
GTM戦略は自社内外のあらゆるステークホルダーに対して、自社サービスの方向性を明確にすることができます。
顧客のニーズと自社のサービスが合致しているポイントを明確に理解し、自社の収益が伸長している要因を特定できるだけでなく、解決しきれていない顧客の課題を浮き彫りにし、今後市場に投入すべき新たな収益構造を見出すことも可能です。
また社内に対しては、一見バラバラに見えてしまうアイディアを統一された意識の元にまとめることができ、KBOやKPIの設定にわかりやすい脈略を生み出し、企業経営を円滑に継続することができます。そして失敗や脈略のないアイディアは、新たなソリューションを作るヒントにもなりうるのです。
GTM戦略は単一のサービスにおいて作られるものですが、これを元に新たなGTM戦略のタネを生み出し、策定していくというサイクルを作ることができうるというメリットも持ち合わせています。
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
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