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ダークファネルとは? B2Bマーケティングの新たな課題を解説!
更新日: 2024年5月15日
目次
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ダークファネルとは「計測ツール等で測定できないユーザー行動」のことです。
多くの顧客は企業に対する認知を得る前に、オンライン・オフラインに関わらずリサーチを行なっています。自社のウェブサイトにアクセスする前にデスクリサーチや他者との情報交換を行なっているということを前提に、何が顧客の興味を引いたかを理解する必要があります。
こちらの記事でも詳しく解説しているように、顧客行動の文脈が理解できない原因の多くはダークファネルへの理解不足によるものだと言われています。
顧客の情報源を細やかにトラッキングすることでダークファネルを減らすことはできるでしょうが、これまで以上にプライバシーやデータセキュリティに配慮する必要がある近年において、マーケティング担当者がダークファネルの全てを明らかにすることは難しいです。
様々なデータを活用し顧客行動の不明点を推察する、といったアクションが必要になります。
ダークファネルはカスタマージャーニーを理解する上で重要な部分であり、新規リードを獲得するための貴重な示唆を得ることができます。
ダークファネルを理解し、それに従ってマーケティング戦略を適応させることを「ダークファネルマーケティング」と呼びます。ダークファネルマーケティングによって、セールスファネル外で行動する潜在顧客に対して効果的に関与することができます。
ダークファネルマーケティングは、カスタマージャーニーは簡単に把握できないという前提に基づく必要があります。テクノロジーの進化や潜在顧客が好むチャネルの変化にいち早く対応し、ターゲットを絞るための様々な戦略を活用することで、カスタマージャーニーに対する認識と実情の違いを埋めようとすることが重要です。
ダークファネルマーケティングを実施する上では、自社外のコンテンツプラットフォームでオピニオンリーダーが果たす役割や、近しい他者からの情報提供があることを理解することも重要です。
SNSで閲覧した情報はもちろん、友人や同僚、家族からの紹介も、購買決定に大きな影響を与えます。オフラインでの情報交換という契機を無視すると、対象者がどの段階まで情報を収集できているかを読み違え、求められていない範囲の情報まで提供してしまいかねません。
顧客と効果的にコミュニケーションをとるには、顧客が交流するチャネルを理解し、それらを適切に活用することで、顧客が適切なタイミングで適切なコンテンツに触れる動線を整備することが不可欠です。
また、ダークファネルマーケティングには、潜在顧客の行動の動機をより深く理解し、顧客行動の文脈を推察するために、統計処理されたデータを利用することが含まれます。
特にインテントデータ(興味関心や競合との接触状況がわかるデータ)は、潜在顧客の興味やペインポイントに関する洞察を提供することができます。インテントデータを活用して顧客行動の予測分析を行うことで、メッセージングやコンテンツを調整し、顧客行動の理解とリード獲得の可能性を高めることができます。
さらに、ダークファネルマーケティングでは、どのプラットフォームやインフルエンサーが、どのようなインテントを持っている顧客とエンゲージメントし、リード獲得を促進するのに効果的かを見極めることも求められます。
販売前の最後のタッチポイントに焦点を当てることが多い従来のアトリビューションモデルでは、ダークファネル内の行動や文脈を理解することから遠ざかってしまう可能性があります。ダークファネルを考慮したカスタマージャーニーの大部分は顧客が自社とエンゲージする前に行われるため、すべてのタッチポイントの影響を考慮するマルチタッチアトリビューションを採用することが重要です。
前述のような内容を考慮し、ダークファネルマーケティングを正しく活用することで、企業は効率的に売上を伸ばすことができます。
ダークファネルマーケティングがマーケティング戦略全体にどのような影響を与えるかを以下に具体的にご紹介します。
購入前に積極的にリサーチし、自社の製品やサービスを評価している潜在顧客を特定することで、ダークファネル内で調査されている内容に関連するコンテンツを作成し、興味を引くメッセージでターゲットにアプローチすることができるようになります。
これにより、より自社が計測可能な状態でユーザー行動を促すことができ、これまで可視化されてこなかった商談機会を見逃さずに済みます。
関心を持っている潜在顧客を発見し、ニーズに合わせた効果的なリードジェネレーション戦略を立てることで、競合他社よりも早く顧客にアプローチし、エンゲージメントを深めることが可能です。
潜在顧客のインテントを可視化し、パーソナライズされたコンテンツやメッセージを提供することで、ビジネスの成長を促進する競争優位性を確立できます。
ダークファネルを踏まえたマーケティング施策においては、カスタマージャーニーのどこに顧客がいるかに関わらず、一貫してポジティブな体験を提供することが重要となります。
ダークファネルを理解することで、より多くのタッチポイントとチャネルにわたって価値を訴求することに焦点を当てた、ホリスティックなマーケティング戦略の確立が可能となります。
ダークファネルマーケティングを実施することで、マーケティング担当者がこれまで見落としていたアカウントをターゲットにし、関連性の高いパーソナライズされたコンテンツで顧客を誘引することができるようになります。
ダークファネルマーケティングの具体例としては、より多岐にわたるニーズに対応できるうように自社サイトのコンテンツを改善し、魅力的で共有しやすい資料を作成することが挙げられます。
また、インテントデータを保有している企業情報データベースを活用しつつ、アクセス解析などの分析ツールと連携させ、より高度な訪問者分析を行う基盤を構築することも重要となります。
さらに、ソーシャルリスニングの導入や既存顧客にレビューや紹介を促し、外部のチャネルでの反応をトラッキングすることなども有効な施策として考えられます。
コンテンツシンジケーションによって自社サイト外でコンテンツが閲覧された際のデータを共有してもらうことも、重要なダークファネルマーケティングの手法になります。
上記のような場合以外の情報が得られないことは、ダークファネルの発生に繋がります。
記事の読者に関する実用的なデータを共有できるパートナーとのコンテンツシンジケーションや、シンジケートされたコンテンツにオプトインフォームやトラッキング用のコードを含めることで、ダークファネルの発生を防ぐことが可能です。
顧客の行動の流れを踏まえたコンテクチュアルなコンテンツを自社内外で配信することが、ダークファネルマーケティングを実施する上で最も重要な考え方です。
一貫して良質な情報に触れることができる環境を整備しておくことで、トラッキングできない行動があったとしても顧客とのエンゲージメントを高め続けることが可能となります。
ダークファネルマーケティングを行う上で重要なポイントは以下の通りです。
ホワイトペーパー、ブログ記事、インフォグラフィックなどが挙げられます。
情報を探している潜在顧客が自社に関わるコンテンツを見つけやすくします。
潜在顧客と直接つながり、情報を共有できる環境を整えます。
業界イベントやカンファレンスに参加し、潜在顧客とオフラインでの繋がりを作ります。
より多くの読者に一度にリーチするためには、ときには競合との協業も必要となります。
これらのポイントを踏まえダークファネル内の潜在顧客にリーチすることで、リードや顧客を増やす機会をより効率的に得ることができます。
インターネットが普及する前は、顧客は調査を行うために、より多くの時間と手段を必要としていました。営業担当者から情報を得ながら専門家にアドバイスを求め、市場予測資料や関連するイベントに参加し、収集した情報を整理して社内での理解を得られるように調整するといった活動を余儀なくされていました。
近年のB2Bカスタマージャーニーにおいても上記のような活動は行われますが、個々のプロセスが単純化され、調査の作業自体は省力化されました。その分、以前は最も重要な情報源であった「直接会う」「目の当たりにする」といったことに対する比重が下がり、成約/販売に至るまでの行動を一貫して追うことが難しくなっています。
ダークファネルマーケティングは「見えない」顧客行動に効果的に対応する、新しいアプローチです。プロセス全体を通して顧客満足度を重視することで、可視化されない顧客行動を正しく理解し、潜在顧客がどこから来たのかを特定する可能性を高め、効果的にリードを創出することを望むB2B企業にとっては不可欠な方法となるでしょう。
自社の潜在顧客がいるチャネルを可視化し、競合他社がうまくアプローチできていない段階から認知と関心を生み出すことで、いち早くポジショニングを確立し、自社に対する具体的な需要を創出することが可能となります。
弊社が提供する顧客データ統合ソリューション「ユーソナー」には、ウェブサイトにアクセスしたユーザーの所属企業を可視化するデータ提供機能が備わっております。
また、ユーザーの興味関心や競合との接触状況を推察することができるインテントデータを提供しており未取引企業の受注見込み度を予測するAI機能も搭載しております。
詳細についてはぜひこちらのページから、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
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