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ダークファネルとは? B2Bマーケティングの新たな課題を解説!

B2Bマーケティングの「ダークファネル」に光をあてる企業データ活用とは

B2Bにおけるカスタマージャーニーを考慮する上で最も多くの顧客が潜むタッチポイントは、トラッキングツールやアトリビューションツールでは測定されていません。
本記事では、ほとんどの企業が見過ごしてしまっている「測定できない行動」=「ダークファネル」に焦点をあて、実現可能な対策について解説します。

目次

ダークファネルとは

B2Bマーケティングにおける「ダークファネル(Dark Funnel)」とは、潜在顧客が製品やサービスに関する情報を収集している段階において、マーケターが認識できない部分のことを指します。
通常、リードが発生する前にはデマンドジェネレーション施策との何かしらの接触が生じているはずですが、何故かいきなりリードが発生し、その理由や直前の行動が特定できない場合は、ダークファネル内での顧客行動があったと推測されます。

具体的には、以下のような行動が含まれます。

  1. トラッキング不可能なブラウジング
  2. 潜在顧客は、所属企業や連絡先といった特定可能な情報を提供せずに企業のウェブサイトを訪れることがあります。
    また一部のユーザーは、プライベートブラウジングなどでクッキーやトラッキングデータの収集を許可せずにアクセスすることもあります。
    また、ブックマークや手動でURLを入力して直接訪れたユーザーに関する情報源を特定するのは難しい場合があります。

  3. メールの転送
  4. マーケティング関連の情報が含まれるメールは同僚や意思決定者に転送されることが多々あるため、メールの受信者と実際の訪問者が同一ではないことがあります。
    メールがどこまで転送されているかを追跡するのは非常に難しく、特定できないユーザーによるアクセスの温床となります。

  5. メッセージアプリ
  6. メッセージアプリを介した個人間での情報共有により、関心の高いテーマに関する情報を提供された相手がオンラインで調査を開始するというケースもよくあります。
    対面での口コミ同様、これらの行動はトラッキングツールのデータだけでは説明しきれないものとなります。

  7. SNSの投稿や広告
  8. SNSの投稿や広告にタイムライン上で接触したユーザーが、SNSを離れダイレクトにウェブサイトに訪れることがあります。
    一般的なトラッキングツールの参照元には「ダイレクト」と表示されることとなり、投稿や広告コンテンツをクリックしてウェブサイトに訪問する行動と比べて、SNS経由でのアクセスであることを判別するのは難しくなります。
    調査当時から現在に至るまでのリモートワークの推進状況を鑑みると、メッセージングアプリやSNSの投稿をきっかけとした顧客行動はより増加していると思われます。

ダークファネル

ダークファネルが生じる原因

ダークファネルが生じる原因は、クッキーなどの従来のトラッキング手法による顧客分析では追跡するのが難しい活動が含まれるためです。
前述のような行動により顧客は興味関心の意思表示をしているにも関わらず、分析ツールがトラッキングできないため行動の文脈を捕捉・理解しきれないという課題があります。


また、ダークファネルはその発生源において、2つのカテゴリーに分けられます。

  • 内在的ダークファネル
  • ・特定不可能なウェブサイト訪問者
    ・フォーム未入力の潜在顧客
    ・見込み企業/既存顧客の別担当者
    ・同一アカウントからの2人目以降のリード(「重複」として扱われる場合がある)

  • 外在的ダークファネル
  • ・記事提供先からのアクセス
    ・製品レビューサイトを通じたアクセス
    ・アクセスデータを共有しない業界ニュースや個人ブログ
    ・比較分析用のアクセス(競合他社のリード)


従来のCRMや分析ツール、データ共有のスキームでは可視化されない部分の存在を明らかにし、技術的な原因とワークフロー上の原因を切り分け、発生源毎に適切な対策を講じることで、ダークファネルにおけるリードの活動をある程度理解することが重要です。

ダークファネルを理解する意義

多くのB2B企業では、特定のウェブページ(ブログ記事など)への直接アクセスなど、理由を特定できないトラフィックソースを持っています。自社の潜在顧客がアクセスしたのか判別できない、このようなトラフィックはダークファネルの大部分を占めています。
「営業の訪問前までに67%の購買プロセスが完了している」
というデータは、今日のB2Bマーケティングを語る上で頻繁に参照される調査結果です。
この購買プロセスの中に含まれるダークファネル内での接触者の情報をセグメント化することができれば、マーケティングにおける新たなターゲット条件を発見することが可能となります。
ダークファネルの存在を理解することで、マーケティング担当者はリードになる顧客の行動をより的確に予想し、適切なコスト配分をもとに効率的なデマンドジェネレーションやリードジェネレーションを設計することができます。


ダークファネルを理解することとデマンドジェネレーションは、顧客とのエンゲージメントを促進し、最終的な売上に繋げる戦略であるという点で連動性があります。
ダークファネルの理解とは、オンライン・オフラインを問わず、複数のチャネルやデバイスにおける顧客の行動を追跡・推測し、顧客のインサイトを創出することです。
デマンドジェネレーションとは、コンテンツの配信やキャンペーンの実施といった情報提供を通じて顧客との関係を創出し、売上に繋がるニーズを生み出すことです。
ダークファネルからの洞察を活用し、デマンドジェネレーションと組み合わせることで、リードジェネレーションを促進する強力な組み合わせが生まれます。
これにより、マーケティング担当者は適格なリードを特定した上でターゲティングをすることができ、顧客エンゲージメントの向上、顧客獲得、そして最終的な売上増加に繋げる施策を実施することができます。


B2Bマーケティングにおけるダークファネルの未開拓の可能性を活用することで、企業はより大きな成果を得ることができるのです。

データを活用したダークファネルへのアプローチ

上記のようなダークファネルでの活動を理解することで、マーケターは潜在的な顧客のニーズにより適切に対応し、従来の手法では簡単に追跡できない顧客のニーズを満たす戦略を考案・設計できるようになります。
ダークファネルでの行動は分析ツールやCRMプラットフォームで検出されにくいですが、適切なデータ処理やデータ活用ツールの利用を通じて、セールスファネルに落とし込めない領域で何が起こったかを推察する方法はあります。


以下はダークファネルにおける潜在的な顧客の行動を理解するための代表的な手法です。

  1. 「ダイレクトトラフィック」をフィルタリングする
  2. 前述のように、大量のダークトラフィックが分析ツール上で「ダイレクト」と表示されます。このようなトラフィックが増加した場合は、ブログ記事やウェビナーの内容が注目や関心を集め、ソーシャルメディアで情報共有されたことによる影響を受けた可能性を考慮する必要があります。
    トップページなどの記憶しやすいURLやブックマークされた可能性のあるウェブページからのトラフィックを除外して分析することにより、ほぼダークファネルのトラフィックのみが残り、トラッキング対象にできなかったユーザー行動がどれだけあったかを把握することができます。

  3. コンテンツに「共有」ボタンを追加する
  4. ダークファネルがソーシャルメディア上での共有によって発生したという仮説を検証する上で、自社のコンテンツをSNS上で共有するための機能を導入することは、顧客のインタラクションをトラッキングする有効な方法のひとつです。
    ユーザーにとって、共有ボタンをクリックして仲間とコンテンツを共有することが、URLをコピー&ペーストするよりもシームレスで簡単であれば、行動を捕捉することができる可能性は高まります。

  5. ソーシャルリスニングツールを使う
  6. 特ソーシャルリスニングツールは、自社に対する言及やブランドに関連するキーワードをトラッキングするために活用されます。
    例えば、あるB2Bインフルエンサーが自社のブログ記事について投稿したとします。これによって多くの直接トラフィックを獲得したことが判明した場合は、このインフルエンサーのフォロワーによるアクセスであることが推測できます。
    ソーシャルメディア上でインフルエンサーから情報が公開されるたびにアラートを設定することで、ダークトラフィックを論理的に特定することも可能です。

  7. リードを対象に調査を実施する
  8. 実際に獲得したリードから教えてもらうことも、ダークファネルの発生源を特定する有効な方法です。
    顧客への情報提供の際にさりげなくヒアリングする、あるいは問い合わせフォームに「どのようにして当社を見つけましたか」という設問を追加することで、情報源をある程度特定することができます。
    ソーシャルメディアからのアクセスだけでなく、口コミや展示会などの対面イベントをきっかけとしたリードの数を推測する際にも有効な方法だと言われています。

  9. QRコードや固有の検索キーワード
  10. ダークファネルが対面イベントやオフラインの広告によって発生するケースを最小化するための手法です。
    展示会のような対面イベントやセミナーにおいて、貴社のブースや配布物、プレゼンテーションのスライドにQRコードを載せることは有効な特定方法になります。
    ノベルティがもらえたり割引が受けられるといったインセンティブを提供することで、QRコードをスキャンしてもらえる確率はより高まるでしょう。
    タクシー広告をはじめとしたオフライン広告においては、QRコードだけでなく他社が使用しないような固有のキーワードを検索キーワードとして指定することも、オフラインとオンラインの間を繋ぐ有効な手立てになります。

  11. 企業情報データベースの活用
  12. 企業情報データベースは、膨大な量のデータを収集しており、リードの行動に関する独自の洞察を得ることができます。
    プラットフォームによっては機械学習アルゴリズムを備えており、見込み度の高い顧客の傾向や次の顧客行動を予測することができます。
    企業属性データやインテントデータを利用することで、ダークファネルから発生したアクセスに情報を付与することが可能となり、自社のターゲットに属する企業からのアクセスだったのか検証することが可能となります。
    また、新たな顧客セグメントを発見するための参考情報を得ることもできます。

おわりに

リードや見込み顧客の全ての行動を追跡することは不可能です。
サードパーティークッキーを廃止する動きが相次いで発表されたことからもわかるように、近年ではプライバシーとデータセキュリティがより重視されるようになりました。
企業はリードの行動をトラッキングする際にも従来以上の配慮が必要となり、テクノロジーの仕様上の限界という観点からも、マーケターから見た「顧客行動の闇の部分」は益々増えていくことになると考えられます。
つまり、B2Bマーケティングにおけるダークファネルを完全に排除することは不可能ということです。
しかし様々なツールやデータを活用することで、顧客行動の不明点を可能な限り推測可能な状態にし、顧客を理解する努力を継続することはできます。

弊社が提供する顧客データ統合ソリューション「ユーソナー」には、ウェブサイトにアクセスしたユーザーの所属企業を可視化するデータ提供機能が備わっております。
また、ユーザーの興味関心や競合との接触状況を推察することができるインテントデータを提供しており未取引企業の受注見込み度を予測するAI機能も搭載しております。

詳細についてはぜひこちらのページから、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

uSonar

ユーソナー編集部

MXグループ・編集長

ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。

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