• 顧客管理・分析

【徹底解説】顧客データ分析の手法を紹介! 効果的なフレームワークや活用方法

更新日: 2024年4月22日

顧客がどのような商品や提案を望んでいるのか把握することは、ビジネスの基本でありながら非常に難しい課題でもあります。とりわけ顧客の行動や価値観が多様化・複雑化している現代においてはなおさらです。

こうした状況で、顧客一人ひとりに最適なアプローチを実行するには、多種多様な顧客情報を収集し、顧客データ分析を行うことが欠かせません。本記事では、顧客データ分析の基礎知識からはじめ、代表的なフレームワーク、活用例、効果的なITツールなどについてまで解説します。

目次

顧客データ分析とは

顧客データ分析とは、顧客に関するさまざまな情報を分析し、深く理解するための取り組みです。顧客データ分析においては、例えば以下のようなことを明らかにします。

  • ターゲット顧客を特定する
  • 顧客のニーズを理解する
  • 自社の商品・サービスに顧客が満足しているか確認する

「自社の顧客は誰なのか」「顧客は何を望んでいるのか」などを把握していなければ、自社の商品・サービスを選んでもらったり、長期的に良い顧客関係を築いたりすることはできません。そこで顧客に関する多種多様なデータを収集・分析し、そこから営業やマーケティング、商品開発などの事業戦略に役立つヒントを得ることが重要になってきます。

顧客データとは

顧客データとは、顧客に関するすべての情報を総称したものです。氏名・年齢・性別・住所・連絡先などの基本情報や、「これまで何を購入したか」「どのような広告に反応したか」といった行動履歴も含まれます。
BtoBになると、顧客データはさらに複雑になります。組織全体の情報はもちろん、自社と交渉する担当部署や担当者、最終的な意思決定者に関する情報など、多くのデータを収集・整理・管理しておく必要があります

顧客データの収集は、Webサイト・POSレジ・モバイルアプリ・ソーシャルメディア・マーケティングキャンペーン・アンケートなど、さまざまなメディアや機会を通じて行えます。例えばECサイトに会員登録してもらうことは代表的な収集手法です。登録時に入力してもらったさまざまな情報は、顧客データとして活かせます。

マーケティング・営業に活かせるよう、常に正しい顧客データをそろえておくことは、顧客のニーズや行動が変化しやすい今日ますます重要性を高めていますが高まっています。 顧客データを収集しつつ、後述のITツールなども用いて、適切な管理体制を整備しましょう。

顧客データの種類

顧客データは多種多様ですが、「定量データ」と「定性データ」の二通りに大別できます。

定量データとは「数量化できる情報」です。統計分析を実行したり、数値に裏付けられた詳細な調査を行ったりするために使用されます。分析結果に客観性を付与しやすく、参照できるデータが多くなればなるほど結果の偏りが生じにくくなるのが定量データのメリットです。顧客データとしては、購入金額・購入数・購入頻度などが代表的な定量データです。

定性データとは「数量化できない情報」のことで、基本的に言葉で表現されます。顧客データで言えば、アンケートやカスタマーサポートなどに寄せられる「お客様の声」が代表例です 。こうした定性データは、数値からは見えない顧客の思考を把握するために有効です。それ以外に、企業名、所在地、業種、代表者名なども定性情報として活用されます。

定量データと定性データは、用途に応じて使い分けることが大切です。例えば「どの商品の売上高が高いか」は定量的な分析によって明らかにできますが、「なぜ顧客がその商品を好むのか」を明らかにする際はアンケートの結果や、所在地ごとの傾向など、定性的データのな分析が適しています。

  • 【参考記事】顧客データを効果的に活用するには? 収集・分析・管理方法と活用事例
  • 顧客データ分析の手法

    顧客データ分析の手法には、さまざまなものがあります。ここでは、その中でも代表的な手法として「バスケット分析」と「セグメント分析」の2つを紹介します。

    バスケット分析

    バスケット分析とは、顧客の購買履歴に基づいて、一緒に購入されやすい商品群を特定する分析手法です。「バスケット」というワードは、スーパーマーケットなどの「買い物かご」に由来しています。

    バスケット分析を行い、例えば「商品Aは商品Bと一緒に買われやすい」と特定することで、商品棚の位置を近づけたり、セット販売などのキャンペーンを行ったりして、売上をより促進できます。加えて、商品A・商品Bの相関性を具体的に明らかにできれば、同じ関係性を持つ商品C・商品Dの販売促進施策などにも活かせます。 ECサイトで特定の商品を買い物かごに入れたユーザーに対して、「この商品を購入した人はこちらの商品も購入しています」といったメッセージを表示させる際には、こうしたバスケット分析の結果が活用されます。

    バスケット分析の結果を利用する際は、顧客の隠れた購入パターンや傾向性を特定し、それにフォーカスした施策を立案・実行します。商品同士の組み合わせによって、顧客自身が自覚しきっていないニーズを引き出すことで、売上アップや顧客満足度の向上を狙います。

    セグメンテーション分析

    セグメンテーションとは、各顧客を特定の共通点や類似性に沿ってグループ分けする手法で、比較的簡単に実行できるため多くの企業で用いられています。BtoBにおいて、顧客をセグメンテーションするための基準としては、例えば以下の要素が挙げられます。

    • 業界
    • 上場/非上場
    • 社員数
    • 資本金
    • 売上額
    • 事業の成長性

    こうした情報に基づいて顧客層を分類することで、自社の顧客層の状況を体系的に理解でき、アプローチすべき顧客の優先順位付けや、それぞれの顧客層に対する施策の立案などを行いやすくなります。顧客層ごとに最適化した営業・マーケティングを実践できるようになるので、売上やコンバージョン率の向上にもつながります。

  • 【参考記事】顧客データ管理とは?顧客情報管理の方法とメリットを解説
  • 顧客データ分析の活用例

    顧客データ分析の活用例

    顧客データ分析の代表的な活用例は以下です。またそれぞれにメリットがあります。

    クロスセル・アップセル

    アップセルとは、既存顧客がより高価な商品を購入したり、利用プランをアップグレードしたりするように働きかける手法です。例えば商材がITシステムなら、「初心者用プラン」ユーザーに「上級者用プラン」への変更を訴求します。 クロスセルとは、既存顧客が追加の商品やサービスを購入するように働きかけることです。例えばデスクを購入した顧客に、それと相性の良いチェアもおすすめすることなどが該当します。

    バスケット分析・セグメンテーション分析によって、「どんな商材をどう使用した顧客層が、どんな別の商材を求めるか」という理解を深めておけば、精度の高いアップセル・クロスセルの実践につながります。それら最適化されたアップセルやクロスセルをそれぞれ実行することで、売上や客単価の向上を常時狙っていけます。

    マーケティングや営業活動を効率化

    一般的に、顧客データ分析はマーケティングや営業を効率化します。顧客の顕在・潜在ニーズや、自社に適したターゲット層などを可視化することで、「人材や広告費などのリソースをどこへ優先的に振り分ければよいか」「どの顧客へ何の提案をしたらよいのか」といった判断を適切かつ迅速に行えるようになるからです。その結果、施策のコストパフォーマンスやコンバージョン率を高めていけます。

    顧客データ分析それ自体の効率化を目指すなら、多くの場合、CRMを活用します。CRMでは、さまざまなチャネルから収集した顧客データを蓄積し、一元管理することが可能です。 例えば、特定の商材についてのアプローチごとに、各顧客の反応や温度感をCRMに蓄積しておきます。これにより、有望な顧客を分析するためのデータ基盤が構築されます。これを参照し、今後のアプローチを有望な顧客へ絞り込めば、無駄なコストを抑えながら成約率を高められます。

    顧客データの管理・分析ツール

    顧客データを管理・分析・活用するためには、ITツールを活用するのがおすすめです。代表的なツールとしては、Excel・CRM・SFA・MAなどが挙げられます。それぞれのツールの特徴は以下の通りです。

    ・Excel

    Excelは非常に多くの企業が利用しているツールであり、顧客データの管理にも利用できます。Excelならば使い慣れている人も多く、すでに導入している場合には導入コストも不要な点が魅力です。とはいえ、本来顧客データの管理や分析に特化したソリューションではないため、不便な点も多々あります。本格的な顧客データ分析を行いたいなら、CRMやSFAを採用した方がよいでしょう。

    ・CRM

    CRMは顧客データの管理に特化したソリューションです。後述するSFAやMAなども含めた多様なツールと連携できる場合が多く、システムや部門を超えて全社的に顧客データを活用したい場合に有力な選択肢になります。特に既存顧客との関係強化を図りたい場合におすすめです。

    ・SFA

    SFAは日本語で「営業支援システム」と呼ばれるソリューションです。営業活動の自動化・効率化を主目的に設計されており、一般には、マーケティングというより営業部門を強化したい場合に導入されます。 営業支援機能のひとつとして、顧客データの管理・分析機能も搭載しています。ただ顧客データ分析だけでなく、見積書や日報の作成業務の自動化、各営業担当者の案件管理など、営業活動全般の効率化をあわせて実現したい場合におすすめの選択肢です。

    ・MA

    MAはマーケティング活動の自動化・効率化を目的としたソリューションです。MAでは顧客データの分析結果に応じて、メールマガジンやSNSなどの情報発信を自動で行えます。 MAは基本的にリードナーチャリング(見込み顧客の育成)に利用されるツールです。その成果をCRMやSFAへ渡すことで、営業部門は有望な顧客へ効率的にアプローチできるようになります。MAと各システムを適切に連携させれば、各リード・顧客が成約に至るプロセスをデータとして追跡できる環境が整います。

    上記で紹介したツールはいずれも顧客データを管理・分析する機能を有していますが、それぞれフォーカスしている部分が異なります。必要に応じて使い分けたり連携したりしながら、顧客理解に努めることが重要です。

    まとめ

    顧客データ分析とは、顧客情報を収集し、分類や分析を行うことで顧客理解を深めることです。顧客データ分析により、自社の顧客層や顧客ニーズなどを的確に把握し、売上を向上させたり、営業やマーケティング活動を効率化したりできます。

    顧客データ分析を効果的に実施するカギは、CRMをはじめとするITツールの導入です。より良い顧客関係の構築に取り組むなら、こうしたツールを十全に活用し、顧客データ分析を入念に行ってください。

    この記事を書いた人

    uSonar

    ユーソナー編集部

    MXグループ・編集長

    ユーソナー編集部です。
    主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。

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