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【DXの本質 vol. 1】DXできない企業の「データ」という意外な盲点

更新日: 2021年4月15日

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「市場開拓」における
データ活用の実態とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)が話題となって久しい昨今。DXとは、デジタル技術を活用し既存ビジネスの枠組みを変革することを指します。この言葉自体は2000年代から存在していましたが、ここ数年でキーワード検索の回数が急増し、多くの企業がDXへの取り組みを加速させています。

しかし、その進捗には大きなばらつきがあるのが実情です。DXが思うように進まない企業は、どんな課題を抱えているのでしょうか。本記事にて詳しく解説していきます。※本記事は4回連載の第1回です

目次

DXが進まない真の原因は「データ統合」にあり

DX推進の火付け役となったのは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」です。このレポートでは、日本企業がDXを実現しなければ、2025年以降、毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されていました。これが「2025年の崖」という言葉の由来であり、DXの注目度を一気に高め、ビジネスの重要トピックとなりました。

DXの進捗は企業によって大きな違いがあります。経営陣が直轄でDXに取り組み、戦略策定に活用している企業も増えている一方で、既存のレガシーシステムをクラウドに移行しただけで、データ活用の重要性にまで目を向けていない企業が多いです。注目度の割に進展度はまだまだという印象があります。

DXが思うように進まない要因には、経営層の危機感の薄さや費用対効果の見えにくさがありますが、最大の課題は「データ統合」です。

データ統合の壁

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企業内の複数の部署が各自で異なるシステムを導入している現状が多く見られます。その結果、システム間でのデータの連携があっても、データの粒度や精度が異なるために業務効率化や効果的な戦略立案に結びつかず、頓挫してしまうケースがあります。

営業部でシステムA、マーケティング部でシステムBを導入した場合、システム間の連携はできていても、同じ企業がシステムAとBで別々に認識されるケースは多々あります。社名変更や表記の揺れなどが原因で、別々の企業として認識されてしまう状況が発生します。

こうした認識のズレは、社内の摩擦だけでなく、顧客とのコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。営業担当が商談中の顧客に対して、マーケティング部が初めてのようにアプローチを行ったり、異なる価格でキャンペーンを案内する事態が起きると、顧客の不信感を招き、ブランドの毀損につながる恐れがあります。

データが正しく統合されていないと、顧客の属性や売上高などの現状把握が不十分になり、誤った意思決定を引き起こすリスクが高まります。DXの本質が「迅速な意思決定」にある以上、データの精度が低いことは致命的です。

クラウドツールの増加とデータ整備の課題

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近年、クラウドツールの市場は急成長を遂げており、企業が複数のツールを導入することが一般的になっています。これにより、社内での情報の分散が深刻な課題となっています。各部署がそれぞれのニーズに応じたクラウドツールを導入することで、営業支援システム(CRM/SFA)、名刺管理ツール、カスタマーサービス関連ツールなど、多様なツールが導入されていますが、それぞれのデータが統一されていない状況が生まれています。

情報が分散していると、各ツールに格納されたデータが統合されず、企業全体での情報共有が難しくなります。これにより、顧客や市場の全体像を把握することが困難となり、戦略立案や意思決定の妨げとなるのです。手作業でデータを整備することも多いですが、時間や労力がかかり、限界があるのが現実です。

この分散した情報を効果的に統合することが、DXの成功には不可欠です。ツールの数が増える中で、各システム間のデータを統合・整理し、全社的な情報共有を促進するためのプロセスを整えることが求められています。

DX成功の鍵となる「NICE」の考え方

データ統合の課題に対応するために、「NICE」の考え方が提唱されています。これは以下の4プロセスから成ります。

  • 標準化(Normalize): データの粒度をそろえる

  • 一元化(Integrate): 共通コードを付与する

  • 補正(Correct): 表記の統一

  • 属性付与(Enhance): 正しい属性情報の付加

これを実現することで、企業はスムーズにデータをDXに活用できるようになります。

DXが語られる際、人材やシステムにばかり焦点が当てられがちですが、真のDXを実現するには「データ」への意識が不可欠です。データトランスフォーメーションなくしてデジタルトランスフォーメーションはありません。これくらいの強い意識を持って、データ統合に取り組む必要があります。

「NICE」を実現した企業こそ、「2025年の崖」を乗り越え、未来のビジネス環境で飛躍できるのです。企業は、今一度データという意外な盲点にしっかりと目を向けるべきです。

まとめ

DXを成功させるためには、データ統合の精度向上が欠かせません。多くの企業が直面しているデータの粒度や精度のばらつきは、業務の効率化や戦略立案において重大な障害となります。

「NICE」のプロセスを取り入れることで、データを適切に整理し、迅速な意思決定を実現する基盤を整えることが重要です。企業は、データトランスフォーメーションを強化することで、「2025年の崖」を乗り越え、未来のビジネス環境で優位に立つことができるでしょう。

次回記事

【DXの本質】は、全4回のシリーズ企画です。
次回記事は、こちらからご覧いただけます。

【DXの本質 vol. 2】顧客データを入り口から整備することがDXの近道▶

この記事を書いた人

uSonar

ユーソナー編集部

MXグループ・編集長

ユーソナー編集部です。
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