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【データ整備の本質 vol.3】継続的データ整備:スポット型と入口統制に続く第3のアプローチ
更新日: 2026年10月 8日
企業間取引におけるデータ活用のアプローチには様々な方法があります。従来、取引先データの整備は「人が読んで理解できる状態」、あるいは「システムが定型的に処理できる状態」を目標に進められてきました。一方で、生成AIやAIエージェントが業務判断の一部を担うようになると、そのいずれとも異なる第3の要件が求められます。それが「AI-Readyなデータ」と言われる考え方です。
本記事では企業間取引のデータ整備を「ヒューマンリーダブル」「マシンリーダブル」の2つに体系化します。その上で、いずれにも収まらない第3の要件としての「AI-Readyなデータ」について、具体的なユースケースを交えて解説します。
※本記事は4回連載の第2回です
ー連載第1回の記事はこちらー
【データ整備の本質 vol.1】なぜ今AI時代のデータ品質なのか:AIが成果を生まない企業の「データ」という盲点
目次
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一般的に「ヒューマンリーダブル」とは、人間が読んで理解できる形式で情報が整えられている状態を指します。
企業間取引の現場では、取引先に関する情報の多くがこの形式で蓄積されてきました。提案書やRFP(Request For Proposal)への回答、商談議事録、会社案内などが該当します。担当者はこれらを読み解き、記載の背後にある取引先の意図まで汲み取った上で判断してきました。
このアプローチの強みは、数値化しにくい取引先の意図や交渉の背景を、削ぎ落とさずに残せる点にあると言われています。定型のフォーマットに収まらない情報を扱えることが長所です。一方で、情報が担当者個人の解釈に依存しやすく、組織としての再現性を確保しにくい課題も指摘されています。具体例としては、担当社員の異動や退職を機に、取引先との経緯が組織から失われるケースが挙げられます。
一般的に「マシンリーダブル」とは、機械が自動的に読み取り、処理できる形式でデータが構造化されている状態を指します。
企業間取引においては、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)に蓄積された取引先マスタが該当します。ERP(Enterprise Resource Planning)の受注データや、BI(Business Intelligence)ツールで可視化される売上実績も同様です。
これにより、定型的な集計や分析を高速に、かつ再現性をもって実行することが可能となります。具体例としては、業種別・従業員規模別の受注率の集計や、月次での商談進捗のモニタリングが挙げられます。
ただし、マシンリーダブルなデータは「あらかじめ定義された処理」を前提としています。どの列が何を意味するかは人間が設計しており、想定していなかった問いには応えることができません。加えて、企業間取引では同じ取引先であってもシステムごとに表記や粒度が異なります。形式が整っていることと、そのデータが指し示す対象が一致していることは、別の問題であると言えます。
「AI-Readyなデータ」とは、特定のユースケースに対し、AIを学習させ実行するために必要なパターンや例外までを含んだデータを指す考え方です。調査会社のGartnerは、その要件として「ユースケースとの整合」「継続的な適格性の検証」「ガバナンス」の3つを挙げています。従来の基準で品質が高いとされるデータが、そのままAI-Readyであるとは限らないとも指摘されています(Gartner「AI-Ready Data Essentials to Capture AI Value」より)。
背景にあるのは、データの使われ方の変化です。従来のシステムは定義された処理を実行しますが、大規模言語モデルを用いたAIはデータの意味を解釈した上で判断を組み立てます。そのため、そのデータが何を意味し、いつ時点の情報なのかまで読み取れる状態である必要があります。
企業間取引の文脈で捉え直すと、「AI-Readyなデータ」の要件は以下の5点に整理することができます。
これらの要件は、以下のプロセスを経て満たされていくとされています。
なお、整備が進まないままAI活用に踏み込むことには、相応のリスクが伴います。Gartnerは、AI-Readyなデータに支えられていないAIプロジェクトの60%が2026年までに放棄されると予測しています(Gartner「Lack of AI-Ready Data Puts AI Projects at Risk」2025年2月26日 より)。国内でも、生成AIを活用する企業が挙げる課題の第1位は「情報の正確性」であり、50.4%が課題として認識しているという調査結果があります(帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」2026年3月 より)。
「AI-Readyなデータ」を整備する価値は、特定の部門に閉じるものではありません。取引先が一意に識別され、意味と鮮度が担保されたデータは、複数の部門が同じ土台の上で活用することが可能です。
「AI-Readyなデータ」の具体例
これらに共通するのは、AIの性能そのものよりも、AIに渡すデータの整合性と鮮度が成果を左右するという点です。AIの出力は推論であり、前提が誤っていればもっともらしい誤答が返される可能性があります。社内のファーストパーティーデータと外部のサードパーティーデータを、一意の識別子のもとで組み合わせることが有効です。
本記事のポイントを3点にまとめます。①AI-Readyなデータとは用途に沿ってAIが解釈し判断できるよう整えられたデータを指す、②企業間取引では社名の表記ゆれや情報の陳腐化がAIの判断精度を大きく損なう、③一意な企業識別と鮮度の担保を先に整えることで各部門のAI活用が同時に前進する、という点です。
本記事でご紹介した3つのアプローチは、いずれも有用です。ヒューマンリーダブルなデータ整備は、文脈や機微を保持できる一方で属人化しやすい性質があります。マシンリーダブルなデータ整備は、再現性のある集計を可能とする一方で想定外の問いには応えにくい制約があります。「AI-Readyなデータ」はこの2つを置き換えるものではなく、両者の上に意味づけと鮮度、ガバナンスを重ねる考え方です。3つを状況に応じて使い分け、組み合わせることが重要になると言えます。
弊社の顧客データ統合ソリューション「ユーソナー」は、企業間取引のデータをAIが扱える状態へ整えるための基盤をご提供しています。「LBC」という独自のコード体系による顧客情報の管理に加え、日本最大級の企業情報データベースを搭載しています。社名の表記ゆれや重複を解消した上で、本社・支社・グループ会社の関係まで含めて企業を一意に識別することが可能です。独自に収集した企業データを活用頂くことで、鮮度の高い外部情報を継続的に取得することもできます。
さらに、統合したデータを機械学習に用いることで、自社とのマッチ度や優先度を付与し、次のベストなアプローチを洞察することが可能です。
詳細についてはぜひこちらのページから、お気軽にお問い合わせください。
【データ整備の本質】は、全4回のシリーズ企画です。
次回記事は、こちらからご覧いただけます。
【データ整備の本質 vol.3】継続的データ整備:スポット型と入口統制に続く第3のアプローチ
※1: Gartner「AI-Ready Data Essentials to Capture AI Value」
https://www.gartner.com/en/articles/ai-ready-data
※2: Gartner「Lack of AI-Ready Data Puts AI Projects at Risk」2025年2月26日
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2025-02-26-lack-of-ai-ready-data-puts-ai-projects-at-risk
※3: 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」2026年3月
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
様々な企業において活用いただいております。


























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