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ABM戦略の進め方と課題解決に繋がるベストプラクティスを詳しく解説

更新日: 2024年9月 9日

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BtoB企業のマーケティング戦略においては、広範囲にリードを獲得し絞り込んでいく手法が多く用いられています。
しかし、この手法ではリソースの無駄や効果的なアプローチの困難さといった問題が発生します。

そこで注目されているのがABM(アカウントベースドマーケティング)戦略です。
ABMとは、特定の高価値顧客企業にターゲットを絞り、パーソナライズされたアプローチを展開するマーケティング戦略を指します。

本記事では、ABM戦略の進め方と、その過程で発生する課題を解消するためのベストプラクティスを紹介します。

目次

ABM戦略とは

ABM(アカウントベースドマーケティング)戦略は、特定の高価値顧客企業に焦点を当て、それぞれのニーズに合わせてパーソナライズされたマーケティングアプローチを展開する戦略です。

この手法では「企業全体を1つの市場」として捉え、特定企業内の意思決定者や影響力のある人物に対して、綿密に計画されたマーケティング活動を行います。

ABMの肝は、限られたリソースを最大限に活用し、より効果的な結果を得ることにあります。

ABMとは?導入のメリットや成果を出すための戦略を徹底解説!▶︎

ABMと従来型のマーケティングの違い

そもそも従来型のBtoBマーケティングは「リードベース」のアプローチを採っています。

従来のマーケティングアプローチでは、広範囲にわたる見込み客層に対して一般的なメッセージを発信し、できるだけ多くのリードを獲得することを目指します。
その後、獲得したリードを徐々に絞り込み、最終的に見込み顧客を特定するのが一般的です。

一方、ABMは最初からターゲットとなる企業を特定し、その企業に特化したマーケティング戦略を立案・実行します。

両者の違いは特に「メッセージング×アプローチ方法」に顕著に現れます。

従来型のマーケティングでは(ニーズは絞り込むものの)各社に向けたメッセージを広く発信し、個々のリードに対して個別にアプローチします。
ABMでは各アカウントに合わせてパーソナライズされたメッセージを作成し、企業全体に対して一貫したアプローチを行います。

そもそもBtoBビジネスでは、複数の意思決定者が関与する複雑な購買プロセスが一般的であり、また高単価な商材が扱われます。
ABMはこの複雑さと高単価に対応できるよう設計されているため、特にBtoB企業に適したアプローチ手法なのです。

企業全体にアプローチし、各意思決定者に適切なメッセージを届けることで、長期的な関係構築と高額な取引の成立に繋げられます。
さらに、BtoB顧客が求めるニッチなニーズに応じた売り込みにも、ABMのパーソナライズされたアプローチが適しています。

ABM戦略の基本ステップ

ABM戦略を効果的に実施する際には、大きく分けて5つのステップを踏むことになります。

  • STEP1:ターゲット企業とキーパーソンの選定
  • STEP2:アプローチ方法の決定
  • STEP3:パーソナライズされたコンテンツの作成
  • STEP4:マーケティングキャンペーンの実施
  • STEP5:施策の効果測定と改善

それぞれ個別にみていきましょう。

STEP1:ターゲット企業とキーパーソンの選定

最初のステップでは、自社にとって最も価値のある顧客企業を特定し、その企業内のキーパーソンを探し出します。

「過去の取引データ」「市場分析」「競合情報」などを活用し、潜在的な収益性や戦略的重要性に基づいてターゲット企業を選びます。

同時に、ターゲット企業内で製品・サービスの導入に影響力を持つ「意思決定者」「主要な利害関係者」を特定することも必要です。

STEP2:アプローチ方法の決定

ターゲット企業とキーパーソンを特定したら、それぞれに最適なアプローチ方法を決めます。

直接的な営業活動だけでなく、デジタルマーケティング、イベント参加など、さまざまな手法を検討しましょう。
各企業の特性やキーパーソンの嗜好に合わせて、最も効果的なコミュニケーション・チャネルと頻度を選ぶ「ライトタイミング・ライトコンテンツ」のアプローチが求められます。

STEP3:パーソナライズされたコンテンツの作成

ABMの核心は、ターゲット企業ごとにパーソナライズされたコンテンツを提供することです。
それを実現するためには、各企業の具体的な課題や業界動向、ビジネス目標に基づいて、高度にパーソナライズされたコンテンツを作成する必要があります。

ABMでは「ホワイトペーパー」「導入事例」「各社に合わせた営業資料」など、多様な形式のコンテンツを用いてアプローチしていきます。

STEP4:マーケティングキャンペーンの実施

コンテンツの準備が整ったら、実際にマーケティングキャンペーンを展開します。
自社で策定した戦略に基づき、作成したパーソナライズドコンテンツを活用してターゲット企業にアプローチしていきます。

キャンペーンの実施では、営業・マーケティングが緊密に連携し、一貫性のあるメッセージをさまざまなチャネルを通じて届ける必要があります。

STEP5:施策の効果測定と改善

最後に、実施した施策の効果を測定し、継続的な改善を図ります。ABMでは、従来のマーケティング指標に加え、以下のようなKPIを測定します。

<顧客評価>

  • ブランド認知度
  • NPS(顧客推奨度)スコア
  • 顧客ロイヤルティ

<顧客との関係性>

  • アカウントカバレッジ
  • エンゲージメント率

<顧客単位の収益>

  • 商談化数
  • 受注率
  • 平均取引額
  • 顧客生涯価値(LTV)

<ターゲット顧客群のカバー率>

  • 保有コンタクト数
  • 関係性のあるコンタクト数
  • コンタクト情報の網羅性
  • コンタクト数の伸び率

<マーケティング活動の効果>

  • ターゲットアカウントのWebサイト訪問数
  • コンテンツのダウンロード数
  • イベント参加率

<営業活動の効果>

  • ターゲットアカウントとの面談数
  • 提案書提出数
  • 商談パイプラインの金額

これらの測定結果に基づいて、アプローチ方法やコンテンツを適宜調整し、ABM戦略の効果を最大化します。
効果測定と改善のプロセスを継続的に実施することで、ABM戦略の精度と効果を向上させられます。

ABM戦略を阻む課題

ABM戦略は多くの利点を提供しますが、その実施には複数の課題が存在します。
ABM戦略を実施する上で直面する主要な課題としては、以下の3つが挙げられます。

  • ターゲティングのための属性情報が不足している
  • 市場全体像の把握が困難である
  • 営業部門とマーケティング部門の連携が不足している

次項より、詳しく解説します。

ターゲティングのための属性情報が不足している

ABM戦略では、適切なターゲット企業を選定し、それらの企業に対して高度にパーソナライズされたアプローチを行う必要があります。

しかし、多くの企業では、精緻なターゲティングに求められる「詳細な企業情報」が不足しています。
具体的には「企業規模や業界」「技術データ」「財務情報」「インテントデータ(行動データ)」などが不十分であることが多いのです。

このような情報が不足していると、ターゲット企業の選定を困難にし、効果的なパーソナライゼーションに支障が出ます。
結果として、ABMの効果が大幅に低下する可能性があります。

ABMで取得するべき企業情報とは?データ取得やマネジメントの方法も解説▶︎

市場全体像の把握が困難である

ABM戦略を効果的に実施する上では、自社の位置づけや競合状況を含む市場全体の動向を正確に把握する必要があります。
しかし、多くの企業にとって、この全体像の把握は容易ではありません。

そもそも2024年現在は市場動向の変化が急速になっており、競合企業の戦略が不透明であることも重なって、自社のポジショニングを正確に評価することが難しくなっています。

こういった背景事情が、ABMにおけるターゲット企業の選定や、それらの企業に対する適切なアプローチ方法の策定を困難にしているのです。

営業部門とマーケティング部門の連携が不足している

ABM戦略の成功には、営業部門とマーケティング部門の緊密な連携が求められます。 一方で、これら2つの部門間の連携が十分でない企業は多く存在します。

その根底には「共通の目標設定の欠如」「情報の共有不足」「コミュニケーションの齟齬」などが存在します。
部門間の連携が不十分だと、ターゲット企業に対する一貫したアプローチが困難になり、ABM戦略の効果が大幅に低下する可能性があります。

ABM戦略成功のためのベストプラクティス

以上の課題を踏まえた上で、それらに対処しつつABM戦略を実行するためのベストプラクティスを紹介します。

データ統合を徹底する

ABM戦略の成功には、高品質で統合されたデータが不可欠です。
その上では、企業内外のさまざまなデータソースから情報を収集し、それらを統合・整理することが重要となります。

具体的には「CRMに蓄積されたデータ」「Webサイトの行動データ」「サードパーティのデータ」などを統合し、ターゲット企業の360度ビューを構築します。

360度ビューとは、ターゲット企業の基本情報や取引履歴、Webサイト上の行動、マーケティング施策への反応など、「あらゆる角度」からの情報を一元化して把握できる状態を意味します。

このような形でデータを統合することで、より精密なターゲティングと、より効果的なパーソナライゼーションが可能となります。

加えて「データ品質の維持」も重要です。
定期的なデータクレンジングやエンリッチメントを行い、常に最新かつ正確な情報を維持することが、ターゲット企業への適切なアプローチを行えます。

ABM成功のために解決すべき3つの課題とは?解決のカギとなるデータ活用も紹介▶︎

継続的に顧客インサイトを収集し活用する

ABM戦略を実施する上では、ターゲット企業に関する深い理解が求められます。
そのため、継続的に顧客インサイトを収集し、それを戦略に反映させることが必須です。

顧客インサイトの収集方法としては「営業からのフィードバック」「顧客への直接的なインタビュー」「Web上での行動分析」などが挙げられます。
これらの方法を組み合わせることで、ターゲット企業の課題やニーズをより深く理解し、それに応じてアプローチ方法やコンテンツを適宜調整していけます。

加えて、収集したインサイトを組織全体で共有し、活用することも求められます。
営業やマーケティング、製品開発など、各部門がこれらのインサイトを活用することで、より効果的なABM戦略の展開が可能となります。

具体的には、マーケティング部門は顧客ニーズに基づいたコンテンツを作成し、営業部門はそれを活用して的確な提案を行えるようになるのです。

データ起点のABM戦略を実現する「プランソナー」

プランソナーは、ABM戦略を実施する上で欠かせないデータ活用を支援する経営戦略プラットフォームです。
日本最大級の企業データベースを活用し、販売パイプラインの拡大を支援します。

最大の特徴は、400万社以上の企業情報を網羅したデータベースを搭載していることです。
ターゲット企業の基本情報やインテントデータの活用により、市場全体の把握や詳細なターゲティングが可能となります。

また、SFAとの連携機能により、ターゲット企業へのアプローチ状況を可視化し、営業戦略の最適化を図れます。

プランソナーは、企業の特徴や傾向を表す1,500以上の「ストーリー」を用意しており、これらを活用することで、ABM戦略では欠かせないより精緻なターゲット選定を実現します。

プランソナーの詳細は下記よりご確認ください。
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まとめ

ABM戦略を成功させるためには、ターゲット企業に関する深い理解と、それに基づいたパーソナライズされたアプローチが不可欠です。
その上では、高品質で統合されたデータと、それを効果的に活用する能力が求められます。

データ起点のABMを展開することで、営業・マーケティング両部門が施策のゴールや重要情報を共有しつつ、一貫性のあるアプローチが可能となります。

変化の激しい時代においては、継続的な顧客インサイトの収集と活用を続けることも大切です。
データを活用して市場動向や顧客ニーズの変化に迅速に対応した上で、戦略を柔軟に調整していきましょう。

この記事を書いた人

uSonar

ユーソナー編集部

MXグループ・編集長

ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。

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