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ABMとは?導入の流れや成果を出すための戦略を徹底解説!
更新日: 2024年4月15日
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ABM(アカウントベースドマーケティング)は「自社がアプローチするべき顧客」に対してアプローチする施策です。2024年現在は、投資対効果(ROI)の向上にもつながることから、日本のB2B企業でも取り組むケースが増えてきました。
しかし、ABM施策がなかなか定着しない企業は少なくありません。
要因は複数ありますが、当社では、特に重要な課題として「ダークファネルの見落とし」「データの分散と品質の問題」「営業・マーケティングの連携不足」の3点が挙げられると考えています。
本記事では、ABM実践のうえで見落としがちなこれらの課題について解説するとともに、ABM成功のカギとなるデータ統合とデマンドセンターについても詳しく紹介します。
目次
ABMは、優良顧客となり得る企業を予め選定し、効果的にアプローチするマーケティング手法の1つです。
わかりやすく定義すると、「自社に多大な利益をもたらしてくれる企業群を明確にし、ターゲットを絞り込んで集中的に営業活動を行う」手法といえます。
ABMは、「中小企業」や「個人事業主」といったジャンルごとのターゲティングではなく、具体的な「特定企業」でターゲットを選定します。
選定後は、ターゲット企業の意思決定を担うステークホルダーやキーパーソンとの接点構築を目指し、さまざまなな角度から関係構築を図ります。
ABMが注目される理由は、限られたリソースを最大限活用し、高い投資対効果(ROI)を得られる点にあります。ターゲットを絞り込むことで、よりパーソナライズされたアプローチが可能となり、顧客エンゲージメントの向上や売上拡大につながるのです。
参考記事:ABMとは?導入のメリットや成果を出すための戦略を徹底解説!▶︎
B2B企業がABMを実施する場合、次のような課題が発生します。
それぞれ、詳しく解説します。
ダークファネルとは、潜在顧客が製品やサービスに関する情報を収集している段階において、マーケターが認識できていない層を指します。
具体的には「トラッキング不可能なブラウジング」「メールの転送」「メッセージアプリでの情報共有」「SNSの投稿や広告からのダイレクトアクセス」などです。
従来型のマーケティング手法では、自社サイト来訪者がダークファネル(アノニマス)の場合、「自社のターゲット顧客なのか」さえも把握できません。
そのため、リードの件数自体をマーケティングのKPIとして追い求めすぎてしまい、獲得したリードの「質の低さ」が課題となっていきます。
サイト来訪者の識別と来訪者エンゲージメントの可視化ができていない状態では、「どの企業に、どういった情報を、いつ届けるのか」といった基本的なエンゲージメント強化施策も難しいでしょう。
ABMを実践する上で、企業のデータが分散していたり、品質に問題があったりすると、効果的なアプローチが難しくなります。
例えば、顧客データを各部門の担当者が別々に入力すると、CRM、MAツール、名刺管理システムなどに分散することになり、分析・活用も難しくなります。
それに加え、データの入力ミスや重複、欠損などがある「データが汚い状態」であると、正確なターゲティングやパーソナライズが困難になるでしょう。
こういったデータの分散と品質の問題を解決するためには、データの統合と整備が不可欠です。
具体的には、各システムのデータを統合し、重複の削除、不正確なデータの修正、欠損データの補完などを行う必要があります。データの入力ルールを設けて、品質を維持・向上させることも重要です。
ABMは、マーケティングがプロファイリングし、接点を持ったアカウントに対し、優先順位に沿って営業部門が営業をする仕組みになっているため、両部門の連携は欠かせません。
しかし、マーケティングと営業は往往にして分断されやすいのが実情ではないでしょうか。
各部門の責任者や担当者はさまざまなタスクに追われ、他部門との十分な連携を重点的に行える人材が不足しているケースがあります。
そのため、ABMで不可欠となる綿密な部門間連携が取れず、「マーケティング側の意図が伝わらない」「営業の進捗状況が共有できていない」などの問題が発生します。
営業・マーケティングの連携を強化するためには、以下のような取り組みが有効です。
ABMを成功させるためには、データ統合が非常に重要な役割を果たします。
前述した3つの課題についても、大枠は「データ管理に関する問題」と定義できます。 そこで、細かな改善策を実施するよりも、まずは「仕組み」として自社でデータ統合の体制構築を行ってしまうのが、非常に効果的なのです。
ここでいうデータ統合とは「企業が保有する顧客データや見込み客データを統合し、品質を向上させること」を指します。
データ統合を行うことで、ターゲティングの精度が向上し、自社の理想顧客像(ペルソナ)により合致した企業を特定した上で、アプローチできるようになります。
統合されたデータを基に、顧客の属性や行動履歴に応じたパーソナライズされたメッセージやコンテンツを提供できるようにもなりますので、商談化率も向上するでしょう。
加えて、営業・マーケティングが同じデータを共有することで、シームレスな連携が可能になり、一貫性のある顧客体験を提供できるようにもなります。
総じて、データ統合によって無駄なアプローチが減り、効果的なアプローチが増えますので、投資対効果(ROI)の向上が期待できます。
参考記事:ABMで取得するべき企業情報とは?データ取得やマネジメントの方法も解説▶︎
データ統合はABMの土台となる重要な取り組みであり、ABM成功のカギを握っているのです。では、データ統合にはどのような手順が求められるのでしょうか。
BtoB企業の場合、以下の5つのステップが必要です。
各手順について、詳しくみていきましょう。
データクレンジングは、データの品質を向上させるために欠かせない作業です。具体的には、重複データの削除、不正確なデータの修正、欠損データの補完などを行います。
データクレンジングを行うためには、まず、どのようなデータが重要なのかを定義し、データの持ち方やルールを決めておく必要があります。
データの流入ポイントを把握し、システム間のデータ連携を考慮しながら、必要なデータを定義していきましょう。
これらのルールを新たに適用してデータクレンジングを行う際、ルール施行前後のデータが混在すると、データの不整合が発生する可能性があります。
そのため、新しいルールに即していない、かつクレンジングも対応していない空白の期間にあたる対象データをなくすことが大切です。
次に、さまざまなシステムに分散しているデータを統合し、一元管理できるようにします。この作業では、「名寄せ(データの照合と統合)」が重要になります。
例えば、同一の顧客情報が複数のシステムに存在する場合、それらを1つのレコードにまとめる必要があります。
この作業を行うことで、顧客情報の重複を排除し、データの整合性を保てます。
データ統合の際には、各システムのデータ形式や項目名の違いに注意が必要です。
例えば「顧客ID/企業名/役職/個人名」といった形で、統一的なデータ形式で管理できるようにしておかなければ、活用可能なデータにはなり得ないのです。
参考記事:ABMツールとは?導入の重要性や企業にもたらす3つのメリットを解説▶︎
この段階では、統合されたデータに対して、企業属性情報(例:業種、従業員規模、売上高など)を付与します。
この情報を付与することで、顧客企業の特徴を把握しやすくなります。
企業属性情報の付与が終わったら、セグメンテーションを行います。セグメンテーションとは、顧客企業を特定の基準で分類し、グループ化する作業です。
これにより、それぞれのセグメントに適したアプローチを行うことができるようになります。
次は、顧客企業とのエンゲージメント(関係性)を数値化し、スコアリングする仕組みを設定しましょう。
エンゲージメントスコアリングには、Webサイトの閲覧履歴、コンテンツのダウンロード、イベントへの参加などの行動データを活用します。
エンゲージメントスコアが高い企業は、自社の製品やサービスに関心が高いと判断できます。
このスコアを活用することで、優先的にアプローチすべき企業を特定し、効果的なABM施策を実行できるようになるのです。
データ統合は一度で完了するものではありません。顧客企業の情報は常に変化するため、継続的にデータを更新し、維持していく必要があります。
具体的には、定期的にデータの更新作業を行い、新しい情報を取り込んでいきます。データの品質を維持するためには、定期的なデータクレンジングも欠かせません。
データの更新と維持を継続的に行うことで、常に最新かつ正確なデータを活用できるようになります。これにより、ABMの効果を最大限に発揮できるのです。
デマンドセンターは、データ統合の成果を活用し、ABMを実践するための中核となる組織機能であり、自社内の情報を一元化した仕組みです。
その役割は、営業部門に対して安定的に質の高い商談の機会を提供することにあります。
デマンドセンターの主な機能は以下のとおりです。
デマンドセンターを構築すれば、ターゲット企業の情報を一元管理できるようになるため、その企業に特化したアプローチが可能になります。
つまり、ターゲット企業のニーズや課題に合わせたパーソナライズされたメッセージやコンテンツを提供することで、より商談に繋がり得るコミュニケーションを実現できるのです。
デマンドセンターを整備すれば、営業・マーケティングの連携も強化されます。 両部門が緊密に連携し、リードに関する情報を共有することで、一貫性のある顧客体験を提供できるようになるでしょう。
ABMを成功させるためには、ターゲット企業に特化したパーソナライズされたアプローチが不可欠です。
しかし、多くの企業では、データの分散や品質の問題、営業・マーケティングの連携不足などの課題を抱えており、ABMを実践する上での障壁となっています。
これらの課題を解決する上では、精度の高いデータ統合が必要です。自社内に点在するデータの整理・統合を通じて、特定アカウントに特化したアプローチが可能になるのです。
データ統合の成果を活用するデマンドセンターを設置することで、営業・マーケティングの連携を強化し、一貫性のある顧客体験を提供できるようになります。
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この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
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