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BtoBの新規開拓市場をどう見つける?顧客データと企業情報を活用する方法

更新日: 2026年10月19日

「売れた企業」は分かる。では、「まだ接点のない企業」は、どこにどれだけあるのでしょうか。

売上や商談のデータは、自社が接点を持った企業の記録です。どの顧客と取引があり、どこで受注できたかは分かります。しかし、その記録だけでは、対象市場のうち何割に取引が広がり、どこに未取引企業が残っているかまでは分かりません。

例えば、顧客100社の市場と、顧客60社の市場。顧客数だけなら前者が大きく見えますが、市場全体の企業数と比べると、営業の力を入れる先が変わることがあります。

次の開拓市場を選ぶには、顧客データの分析に加え、顧客ではない企業も含めた比較が要ります。本記事では、その比較方法と、企業情報を営業判断に使うためのデータの整え方を解説します。

目次

顧客数を市場全体と比べ、開拓余地を捉える

次の開拓市場を選ぶときは、顧客数と売上の集計に、対象市場の企業数を加えて比較します。顧客数の多い業種が、自社にとって開拓しやすい業種とは限らないからです。

比較に使うのは、顧客浸透率と未取引企業数です。顧客浸透率は、対象市場の企業数に占める既存顧客数の割合。未取引企業数は、その市場で自社との取引がないと確認できた企業の数を指します。

以下は説明用の仮想例です。実際の導入事例や実績ではありません。対象企業と既存顧客の時点・法人単位・対象条件がそろい、取引状況を確認できているものとします。

比較項目市場A市場B
対象企業数1,000社200社
既存顧客数100社60社
顧客浸透率10%30%
未取引企業数900社140社

顧客浸透率=対象市場内の既存顧客数÷対象企業数×100

顧客数だけを見ると、市場Aの100社が目に入ります。しかし、市場全体と比べると、市場Bでは対象企業の30%と取引しています。市場Aは既存顧客数と未取引企業数が多く、市場Bは顧客浸透率が高い、という違いがあります。

市場Aには広く開拓できる余地があり、市場Bには自社が選ばれやすい条件があるかもしれません。次は、同じ期間・定義で集計した受注率、顧客単価、営業コストを比べます。市場Aへ営業先を広げるか、市場Bで実績のある条件を深掘りするか。市場に残る候補の数と、自社の取引実績を合わせて、営業の優先順位を決めます。

未取引企業が多いだけで有望市場とはいえません。浸透率の高さにも、過去の営業体制や販売チャネルが影響します。商品力や競争優位が証明されたと捉えず、判断の出発点として使います。未取引企業数も候補の規模を表す数字であり、売上機会や市場規模の金額ではありません。

比較の前に、企業と拠点の対応関係をそろえる

正しく比較するには、まず「同じ企業の情報」と「何を1件と数えるか」をそろえます。データをつなぐ目的は、システムごとに分かれた取引・商談・企業情報を、同じ企業や拠点の情報として扱い、判断に使える状態にすることです。

販売管理では売上が分かり、CRM/SFAでは商談の進捗が分かっていても、企業名や顧客コードが違えば、そのままでは一社分の情報として集計できないことがあります。共通の企業識別情報で対応付けると、「取引のある企業に、今どの提案を進めているか」を確認しやすくなります。

ここで、未取引と未照合を区別します。表記の違いなどで照合できなかった企業を、取引がない企業として数えてはいけません。名寄せ結果はサンプルで正誤を確かめ、対応付けが未確定のデータは分けて管理します。

LBCで、接点のない企業と拠点まで見る

市場全体を比較対象にするには、顧客ではない企業の情報も要ります。さらに、その情報を自社の顧客・商談データと対応付けなければ、取引のある企業と、まだ接点のない企業を分けられません。

ユーソナーの企業情報データベース「LBC」は、この二つを支えるデータです。全国の1,250万を超える事業拠点を収録しています。法人の社数ではなく、事業拠点の件数です。※1

LBCの役割は、件数だけでなく、次の三つから捉えられます。

  • 範囲:顧客データの外側を見る
    自社に接点のない企業・事業所も含め、対象市場と顧客を比較する。
  • 識別:同じ企業の情報を対応付ける
    表記揺れ、旧社名、旧住所などを整理する辞書や名寄せの知見を使い、自社データと企業情報を照合する。
  • 関係:拠点や関連企業まで見る
    本社・支店、親会社・子会社などの関係から、未取引拠点や関連企業への展開を考える。※2

説明用の例として、「本社とは取引があるが、別地域の工場には未提案」「ある子会社とは取引があるが、同じグループの別法人には接点がない」といった状況があります。「この企業は取引済み」とまとめるだけでは、こうした提案先を見落とします。

法人単位の顧客数は法人単位の市場企業数と比べ、拠点別に見るなら両方を拠点単位にそろえます。親会社と子会社は別法人なので、法人別の集計を保った上で、グループとしての関係を扱います。

市場の企業情報と自社の取引情報を、企業・拠点の対応関係を保って比較する。企業情報を営業判断に使うには、この準備が要ります。

企業の条件と関心の兆しから、接触の順番を決める

市場を選んだら、提案先と接触の順番を決めます。業種・従業員規模・地域などで自社に合う候補を絞り、その企業が今どのテーマに関心を寄せているかを参考にします。

受注企業と属性が似ていても、同じ時期に同じ提案が合うとは限りません。そこで使うのが、Web上の行動などから関心の兆しを捉えるインテントデータです。

例えば、受注実績のある業種・規模の企業を抽出した後、提案に関連するテーマへの関心の兆しを重ねます。「自社に合う条件」と「今、接点を持つ理由」を分けて確認すると、提案テーマや連絡する順番を考えやすくなります。

インテントデータは、企業の内心や購買意思を直接確認したものではありません。候補の適合性や実際の検討時期は、営業活動の中で確かめます。属性と関心の兆しは、その確認をどこから始めるかを決める材料です。

プランソナーで、候補の抽出と営業状況の確認を進める

プランソナーは、市場分析・ターゲット選定・営業活動の進捗管理を支援する業務サービスです。ここまでの市場比較や候補選びを、営業活動につなげる機能を備えています。※3

判断したいこと活用する機能
どの条件の企業を候補にするか「ミキサー」で企業属性や取引先データを組み合わせ、ターゲットを抽出する
自社の取引がどの領域に浸透しているかリスト分析で既存顧客の浸透率を確認し、得意なセグメントを探る
どの企業に、どこまで接触しているかCRM/SFAとの連携でアプローチ状況を可視化する
関心の兆しがある企業はどこか特定のキーワードに関するインテントデータを用い、候補を絞り込む

表はプランソナーの公開情報に基づく整理です。※3

候補を抽出した後にアプローチ状況を確認すれば、未接触の企業と、すでに商談が進んでいる企業を分けて動けます。営業活動の結果を記録し、受注や失注の傾向を次の選定条件に戻します。候補リストは、一度作って終わりではなく、活動の結果に合わせて見直していくものです。

売上・商談・施策のデータを、企業単位で分析する

部門やシステムをまたいで、自社の業務に合わせた分析を行う場合は、販売管理の売上、CRM/SFAの商談履歴、マーケティング施策への反応などを企業単位で対応付けます。そこにLBCの業種・規模・所在地などを加え、分析の切り口をそろえます。

例えば、「どの業種・規模で商談が受注につながっているか」「どの施策をきっかけに接点を持った企業が、継続取引に至っているか」を分析する方法です。未取引企業を含む市場と比べれば、受注実績はあっても接点の少ない地域など、次に試す領域を探せます。

Snowflakeで、企業データを自社の分析環境でも使う

企業情報を使う場所は、営業担当者が操作する業務サービスだけではありません。自社の分析環境で、取引・商談・マーケティングのデータと組み合わせて使う方法もあります。

ユーソナーは2025年11月にSnowflake MarketplaceでLBCの提供を開始し、2026年9月1日には、SnowflakeのAI データクラウド サービスパートナーのSelectパートナー認定を発表しました。※1

Snowflakeは、データの蓄積・分析・共有・AI活用を支える技術基盤です。プランソナーとは役割が異なり自社の分析環境でLBCを使う場合も、何を比較するかを決め、企業の対応関係と指標の定義をそろえることが可能です。

Snowflakeのデータシェアリングは、共有対象とアクセス権限を設定し、他のSnowflakeアカウントからデータを利用できる仕組みです。同一リージョン内の直接共有では、データそのものをコピーせずに参照できます。異なるリージョンやクラウド間で共有する場合は、複製などを含む構成になります。※4・5

セマンティックビューで、集計の意味をそろえる

同じ企業のデータを集めても、「顧客数」が累計取引先数なのか、当年度の取引先数なのかで結果は変わります。受注率も、対象期間と分母をそろえなければ比較できません。

特に、参照するシステムや資料が増えると、こうした定義の違いが表に出てきます。例えば、販売管理では「売上が発生した企業」、CRM/SFAでは「取引先として登録された企業」を顧客として数えていれば、どちらも「顧客数」でも数字は一致しません。データを追加するたびに、この違いを集計する人が読み解いていては、分析結果の確認にも手間がかかります。

そこで、データをつなぐ際には、「どのデータを参照し、何を、どの条件で数えるか」も共通化します。情報量だけでなく、データの出所や分析に関わる人が増えるほど、この定義を共有する意味が大きくなります。

セマンティックビュー(Semantic Views)は、顧客数や受注率などの指標、業種・地域などの分析軸、データ間の関係を定義し、業務で使う言葉とデータを結び付ける仕組みです。※6

工程 そろえるもの
名寄せ・企業識別 どの企業・拠点の情報なのか
セマンティックビューによる定義 何を、どの条件で、どのように集計するか

企業を識別する処理と、指標を定義する処理は別の仕事です。セマンティックビュー自体が企業名の表記揺れや名寄せを解決するわけではありません。企業・拠点の対応関係を整えた上で、集計の定義をそろえます。

AIを使って分析する場合も同様です。「顧客数を教えて」と尋ねる前に、どの期間の、どの単位の顧客を数えるのかを定めます。データや質問する人が変わっても、同じ定義を参照して分析できるようにすることが、結果を比較・確認する土台になります。

ここで説明したセマンティックビューはSnowflakeの一般機能であり、プランソナーの搭載機能を示すものではありません。

一つの市場、一つの営業判断から始める

着手するときは、「次の四半期に、どの業種・地域へ営業の時間を振り向けるか」など、判断したいことを一つ決めます。最初から全社のデータを集めるのではなく、その問いに必要な範囲からそろえます。

  1. 対象市場、法人・拠点の集計単位、取引の判定期間を決める。
  2. 自社データを企業情報と照合し、未照合を分ける。
  3. 顧客浸透率と未取引企業数に、受注率・顧客単価・営業コストを重ねる。
  4. 候補企業への営業活動で適合性を確かめ、結果を次の選定に戻す。

企業データを、次の営業判断を支える土台にする

企業データをつなぐ目的は、分散した情報を一か所に集めることだけではありません。取引・商談・企業情報を同じ企業の情報として結び付け、自社の営業実績と市場全体を比較し、次の営業戦略に活かすことにあります。

そのためには、既存顧客だけでなく、まだ接点のない企業も含めた市場全体のデータと、自社が保有するデータを正確に対応付ける仕組みが必要です。

企業名の表記を統一するだけでなく、本社と支店の関係、親会社と子会社の法人としての違いも正しく識別する。こうした企業データの整備が不十分なままでは、どれだけ高度な分析環境を構築しても、比較する数字の信頼性は高まりません。

ユーソナーが目指す「法人データインフラ企業」とは、法人企業データベース「LBC」を基盤に、企業データの品質・構造・鮮度を維持し、企業内外に分散した情報を正しく結び付けることで、企業の意思決定や業務活動を支える存在です。※1

プランソナーなどの業務サービスでLBCを活用する場合も、Snowflakeマーケットプレイスの企業データを活用して自社の分析環境に企業データを統合する場合も、共通するのは、企業を正確に識別し、市場全体を捉えるためのデータ基盤の重要性です。

「売れた企業」の記録は、これまでの営業活動の成果です。しかし、その記録だけでは、まだ開拓できていない市場の大きさや、次に狙うべき企業は見えてきません。

自社の取引実績を、未取引企業を含む市場全体と照らし合わせることで、どの業界・企業規模・地域に開拓余地があるのかを把握できるようになります。

「どの企業に売れたか」から、「どの市場に、なぜ次の営業機会があるのか」へ。

企業データを単なる顧客管理のための情報ではなく、次の営業判断を支える経営資産として活用する。それが、本記事で提案する企業データの使い方です。

市場全体と自社の顧客を比較し、新たな営業機会を見つけたい方は、プランソナーの市場分析・ターゲット選定機能をご覧ください。

プランソナーの市場分析・ターゲット選定機能を見る


出典
※1 ユーソナー、「Snowflake AI データクラウド サービス パートナー」のSelectパートナーに認定(2026年9月1日)
※2 企業情報データベース「LBC」の概要と特長
※3 プランソナー公式サービスページ
※4 Snowflake:Introduction to Secure Data Sharing
※5 Snowflake:Sharing data securely across regions and cloud platforms
※6 Snowflake:Overview of semantic views

この記事を書いた人

uSonar

ユーソナー編集部

MXグループ・編集長

ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。

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