- データ活用
【保存版】データ基盤の用語マップ!DWH・ETL・MDM・CDPを3つの層でまとめて解説
更新日: 2026年10月15日
「データは集まっているのに、毎月の集計に時間がかかる」「分析結果を、次の営業活動や経営判断につなげたい」。こうした課題を考えるうえで、参考になるのがSnowflakeの企業活用事例です。
顧客接点の可視化、全社でのデータ共有、業績予測、月次レポートの効率化。業務によって、必要なデータも、見直すべき作業も異なります。
本記事では、顧客分析・経営企画・経理での活用と、自社で取り組む際のポイントをユーソナーの視点で解説します。
目次
こちらの記事もおすすめ!
商談、売上、会計、Webのアクセス履歴。Snowflakeにデータを集約し、ダッシュボードで確認できる環境が整ったら、その成果を土台に、次は「見えるようになった数字を、どの判断に使うか」が考えられます。
営業企画なら次に提案する企業の選定、経営企画なら人員や予算の配分、経理・管理部門なら取引の集中状況の把握などが挙げられます。活用を広げるには、判断したいことを先に決め、必要なデータ、比較する指標、集計のルールを整理することが出発点になります。
本記事では、Snowflakeの公開事例から参考になる取り組みを紹介し、そのうえで、自社データに企業属性や企業グループの関係を組み合わせる活用方法と、小さく検証する手順を解説します。
BtoB企業では、見込み顧客の獲得から商談、受注、導入後のサポートまで、顧客との接点が複数の部門にまたがります。各部門が別々のツールで情報を管理していると、施策がどのように成果につながったかを追いにくくなる場合があります。
BtoBソリューションを提供するある企業は、Salesforce、Marketo、Adobe Analyticsなどの情報を横断して活用する、全社共通の顧客データ基盤をSnowflake上に構築しました。公開事例によると、これらのシステムを横断するKPI集計は、従来の月約4時間から約10分に短縮されています。また、各事業部のマーケティングKPIを統一し、施策を同じ物差しで比較できるようにしています。※1
この取り組みから参考になるのは、データの集約と指標の統一をセットで進めている点です。自社でも、「どの施策が商談につながったか」「どの段階で見込み顧客が減っているか」など、確認したい問いから必要なデータを整理すると、活用の目的が明確になります。
既に各システムのデータをSnowflakeへ取り込んでいる場合は、顧客や商談をシステム間で追えるか、部門間で指標の定義や集計条件がそろっているかを確認してみてください。
必要な数字を確認するたびに情報システム部門へ集計を依頼する運用では、追加の分析や判断を進めるまでに時間がかかることがあります。
あるIT企業は、データ収集から経営判断までの時間差を課題として、社内データを統合する基盤をSnowflakeで構築しました。役割に応じたアクセス制御に加え、データ探索・可視化のためのツールやチュートリアルを整備し、2024年6月には生成AIによるSQL自動生成機能を実装しています。※2
この事例では、2022年4月の基盤リリースから1年後の検証で、利用状況が当初の想定を下回っていたことも紹介されています。その後の利用者へのヒアリングでは、操作やSQLを学ぶ時間の不足に加え、必要なデータを見つけることや、個別データの信頼性を把握することの難しさが明らかになりました。生成AIの活用は、こうした壁を乗り越えるための取り組みとして進められています。※2
自社へ応用する際は、利用が進まない理由を、次のように分けて考えると整理しやすくなります。
AIによって質問や操作を簡単にすることと、回答の前提となるデータや定義を整えることは、合わせて検討する必要があります。利用部門がよく尋ねる質問を集め、今のデータでどこまで答えられるかを確認すると、改善の優先順位を付けやすくなります。
経営企画では、実績を正確に集計することに加え、「採用や投資を増やしたらどうなるか」「計画の変更が利益やキャッシュフローにどう影響するか」を検討します。
データプラットフォームを提供するある企業は、大規模なExcelで管理していた中長期計画を、SnowflakeとStreamlitを使う社内アプリに移行しました。実績データと計画の前提を同じ基盤で扱い、前提の更新、シナリオの作成、バージョンの比較を行えるようにしています。さらに、Snowflake CoCoを使い、自然言語で計画の違いや主要な変動要因を確認する活用も紹介されています。※3
この事例を自社に置き換える際は、アプリの形よりも、計画を更新する過程のどこに負担があるかに着目します。実績の取り込み、部門間の数字の照合、前提条件の変更、変更理由の説明など、時間がかかる工程を整理してみてください。
Snowflake上に実績データがそろっているなら、計画の前提、計算ルール、変更履歴、承認の流れをどのように管理するかが検討テーマになります。AIが示した説明も、元データと計算過程に照らして人が確認することが大切です。
経理・財務では、会計システムからデータを出力し、Excelで加工して報告資料を作る作業が、毎月繰り返されることがあります。
データプラットフォーム提供企業の財務部門では、部門別の損益をExcelに集約していた予実管理プロセスを、SnowflakeとStreamlitを使ったアプリに置き換えています。公開記事では、実績の取り込みや集計の更新を自動化し、全体の損益からコストセンター単位まで掘り下げて差異を確認する取り組みが紹介されています。※4
また、一部の経費カテゴリでは、AIが作成した差異コメントを担当者が確認・修正する流れも取り入れています。AIに最終判断を任せるのではなく、下書きを人が検証する運用です。※4
自社で取り組む際は、データを取り出した後に繰り返している作業を具体化します。部門別の集計、勘定科目の対応付け、元明細との照合、差異説明の作成などを分けることで、自動化する処理と、人が判断する工程を設計しやすくなります。
会計処理は既存の会計システムで行い、Snowflakeでは横断的な集計や分析を行うなど、目的に応じて役割を分担する方法も考えられます。
ここまでの事例には、データの集約に加え、指標、アクセス権限、計画の前提、分析の手順を整えることで、業務での利用を広げる工夫があります。
同様のデータ活用を進める企業では、その取り組みを土台に、自社でさらに答えたい問いを整理してみましょう。例えば、次のような問いが考えられます。
これらを検討する方法の一つが、自社の商談・売上・会計データに、企業属性や企業同士の関係を示す情報を組み合わせることです。
業種・企業規模・グループ関係などを加えると、顧客や市場を比較する切り口が増えます。その比較を、次に提案する企業や、注力する市場を検討する材料にできます。
企業情報を活用する際に確認したいのが、Snowflake上の各データで、同じ企業を同じ企業として扱えるかどうかです。
CRMでは顧客コード、会計システムでは取引先コード、事業部の管理表では企業名だけで管理している場合、それぞれの情報をそのまま突き合わせても、同一企業の取引が分かれて集計されたり、別企業の情報が誤って結び付いたりする可能性があります。
こうした表記やコードの違いを確認し、同一の企業に属するデータを対応付ける処理が、企業の名寄せです。
システムごとの顧客コードや企業名を共通の企業識別情報に対応付けることが、企業単位の横断分析を支えます。
例えば、CRMの商談情報と会計システムの売上情報を企業単位で結び付ければ、その企業との商談状況と売上実績を合わせて確認できます。ただし、個々の商談がどの売上につながったかまで追うには、商談・契約・受注明細などの対応関係も必要です。
また、法人単位、事業所単位、企業グループ単位では、集計の意味が異なります。元の顧客コードを残したうえで対応関係を管理し、分析する単位を先に決めましょう。対応先を確定できないデータは、無理に結び付けず、確認対象として分けて扱います。
外部の企業データへアクセスできることと、自社の顧客データとの対応付けができることは、別の工程です。データの収録範囲、照合方法、更新の扱いをそれぞれ確認する必要があります。
関連記事:SnowflakeとAIで法人データ活用はどう変わる?「つなぐ」と「探す」を支える企業データ基盤
ここからは、Snowflake上の自社データに企業情報を組み合わせる活用案を紹介します。以下の例は分析の考え方を示す仮想例であり、特定企業の導入実績や成果を示すものではありません。
商談・受注データに業種や従業員規模を組み合わせ、企業の特徴別に商談数、受注率、受注単価、商談期間などを比較します。
例えば、「受注件数は大企業が多いが、受注率や商談期間を見ると、中堅の製造業も重点候補になり得る」といった仮説を検証できます。同じ条件に該当する未取引企業を抽出し、進行中の商談先や営業対象外の企業を除けば、新規開拓先を検討するための候補になります。
候補は営業担当者が確認し、顧客の課題や商品の適合性を踏まえて優先順位を付けます。営業リストや広告・セミナーの対象に反映した後は、商談化や受注まで追い、条件を見直します。
比較する際は、対象期間、商談の定義、受注率の分母をそろえます。未決着の商談の扱い、商品や営業チャネルの違い、対象件数も確認し、一部の成功案件だけで重点市場を決めないことが大切です。
取引先別売上に企業属性を加え、業種・規模・地域ごとの売上構成を確認します。さらに、自社の商品・サービスの対象範囲を定義し、その条件に該当する企業数と自社の取引先数を比較します。
例えば、「売上の大きい業界でも、対象企業のうち取引できているのは一部」「取引先数は多いが、1社当たりの売上は小さい」といった違いを把握できます。
前者なら新規開拓、後者なら追加提案や提供商品の見直しなど、市場ごとに施策を検討する材料になります。営業人員やマーケティング予算を配分する際にも、自社の実績と開拓状況を合わせて確認できます。
対象企業数と取引先数は、分類条件、基準時点、法人・事業所などの集計単位をそろえます。利用する企業データの収録範囲や欠損によって、比較できる範囲が変わることにも注意が必要です。
なお、取引先数の割合は企業数ベースの開拓状況であり、金額ベースの市場シェアとは異なります。未取引企業が多いことだけで売上拡大を見込まず、商品との適合性や営業に必要なコストも合わせて検討します。
販売・会計・購買データについて、名称やコードの異なる同一企業を識別し、売上や仕入を企業単位で集約します。
例えば、複数の部門が同じ仕入先と取引している場合、部門ごとの帳票では見えにくい全社の仕入総額を確認できます。販売先についても、企業単位の売上や、必要な原価情報と配賦ルールがそろえば利益を比較できます。
さらに企業グループの関係を加えると、個別法人では分散して見えていた取引が、特定のグループに集中していないかを確認できます。全体の売上や仕入に占める割合を計算することで、販売先・仕入先への依存度や、取引条件を検討する材料になります。
集約する際は、対象期間、計上基準、通貨、グループ関係の基準時点をそろえます。法人別の金額とグループ集計の金額を重ねて足すなど、二重計上が生じないように確認しましょう。取引の集中度は判断材料の一つであり、それだけで信用リスクや供給リスクを判定するものではありません。
事業部ごとの顧客・契約・売上データを企業単位で結び付け、どの企業がどの商品やサービスを利用しているかを整理します。
例えば、「A事業部では取引があるが、B事業部の商品は未導入」「親会社とは取引があるが、同じグループの別会社とは取引がない」といった状況を、確認できるデータの範囲で調べられます。
企業の業種・規模や既存の導入実績も合わせて見ることで、追加提案先やグループ内での展開候補を検討できます。
ただし、契約情報の欠損や代理店経由の取引などにより、自社データだけでは導入状況を把握できない場合があります。記録がないことを未導入と即断せず、担当者への確認を挟みます。部門間の情報共有権限や顧客との契約条件を守り、顧客の課題と商品の適合性を踏まえて提案先を選ぶことが重要です。
活用を広げる際は、最初から全社のデータや企業情報をそろえようとするのではなく、一つの判断を改善するテーマから始めると、必要な作業と効果を確認しやすくなります。
「業種別に集計する」ではなく、「次の四半期に営業を強化する業種を選ぶ」のように、分析結果を誰が何に使うかを決めます。判断の担当者と、結果を確認する会議や業務も明確にします。
検証前に、現在の判断方法と比較して何を確かめるかも決めておきましょう。集計時間、候補企業の適合性、担当者の確認負荷など、目的に合った観点を選びます。
既存のSnowflake環境に、商談結果、売上、契約、原価などのどのデータがあるかを確認します。そのうえで、業種、従業員規模、所在地、企業グループの関係など、問いに答えるために必要な企業情報を絞り込みます。
企業情報については、収録範囲、更新日、欠損、分類基準を確認します。単体・連結、法人全体・事業所など、同じ項目名でも対象範囲が異なる場合があります。
過去の受注傾向を調べる場合は取引時点の属性、現在の営業先を探す場合は現在の属性など、分析目的に合わせて時点の扱いも整理します。過去時点の属性を取得できない場合は、その制約を踏まえて結果を解釈します。
対象を一つの事業や部門に絞り、顧客コードと企業識別情報の対応関係を確認します。対応付けできた割合だけで精度を判断せず、確定・未確定・複数候補に分け、サンプルで結び付けの正誤を確認します。
続いて、結合前後の件数や金額を比較し、元データと整合するかを確かめます。同じ企業に複数の商談や売上明細がある場合は、結合によって行数が増え、金額が重複して集計されないように注意します。
あわせて、企業情報の利用条件、更新頻度、閲覧権限、分析結果の共有範囲を確認します。データの利用契約、照合処理、アプリ開発、運用にかかる費用や工数も含め、検証範囲を決めます。
営業先の候補を担当者と見直す、予算配分の会議で市場別の状況を確認するなど、実際の業務で試します。
集計時間の短縮に加え、候補企業の妥当性、営業での利用状況、判断に不足していた情報、確認・修正にかかった工数を記録します。新規開拓を目的とする場合は、その後の商談化や受注も追い、対象条件を見直します。
成果を比べる際は、対象期間、商品、チャネル、担当者の活動量などの違いも確認します。企業情報を加えたことだけで、売上増加や予測精度の向上が保証されるわけではありません。
Snowflakeの公開事例には、集計の効率化に加え、部門横断の顧客分析、利用者への分析支援、シナリオ比較、財務差異分析へと活用を広げる取り組みがあります。それぞれに、指標、権限、前提条件、業務手順を整える工夫が見られます。
こうした取り組みを土台に、自社でさらに答えたい問いを考えてみてください。企業を共通の識別情報で結び付け、属性やグループの関係を加えることも、その選択肢の一つです。
企業情報を組み合わせる目的は、項目を増やすことではなく、次の提案先や注力市場を判断する材料を増やすことです。
まずは一つの業務を選び、必要な情報と集計単位を決め、対応付けや分析結果を確かめながら検証を進めましょう。
「受注傾向から営業先の候補を探したい」「未取引企業を含めて市場の開拓状況を確認したい」「企業グループ全体の取引を把握したい」など、企業情報の活用を検討している方は、ユーソナーに企業情報の活用をご相談ください。
出典
※1 Snowflake公式:全社共通の顧客データ基盤にSnowflakeを採用、事業部を超えた施策比較とデータ活用を推進
※2 Snowflake公式:データドリブンプラットフォームの構築と生成AIによる全社データ活用の促進
※3 Snowflake公式ブログ:How We Use CoCo and Streamlit to Make Long-Range Planning Conversational(英語)(2026年7月8日)
※4 Snowflake公式ブログ:Cortex Codeを使用して財務差異分析をライブでインテリジェントなワークフローに変換した方法(2026年5月28日)
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
様々な企業において活用いただいております。


























ITreview Grid Award 2026 Fall
リーダー認定6部門
