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「SaaS is Dead」「SaaS is Weak」を考える~AI時代に高まるユーソナー3つの強み
更新日: 2026年6月 3日
2026年1月末から2月にかけて、SaaS企業の時価総額から1兆ドル(約150兆円)以上が消失するという株式市場の異変が起きました。
これは、SaaS業界全体を震撼させる「SaaSpocalypse(SaaS + Apocalypse = SaaS黙示録)」の始まりとなりました。機関投資家を中心に「とにかくSaaS企業の株を売ろう」というパニック状態に陥り、ソフトウェア業界からエネルギーや素材といった「オールドエコノミー」のバリュー株への大規模なセクターローテーションが発生しました。
この出来事は、「SaaSというビジネスモデルそのものの終焉を意味するのか?」といった議論を巻き起こしました。本記事ではSaaSpocalypseの本質と、企業の生き残り戦略について解説します。
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目次
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SaaSpocalypse(SaaS黙示録)とは、AIエージェントの普及に伴う市場構造の変化により、SaaS(Software as a Service)企業群が経験した大規模な市場暴落を指す造語のことです。
主な経過タイムライン
SaaSpocalypseの根本原因は、AIエージェントによる「シート圧縮(seat compression)」であると言われています。AIエージェントが1人で5人分の仕事をこなすなら、企業は500ライセンスではなく100ライセンスしか買わないというロジックで、従来の「人数×単価」というSaaSの収益モデルが崩壊してしまうと言われていました。
投資家たちは、「シート課金」モデルの崩壊や「バイブコーディング」によるソフトウェア自作の脅威を認識し、SaaSセクターからの資金移動を加速させました。
SaaSpocalypseは世界中の様々な企業、とりわけ上場会社とスタートアップの評価に、多大な影響をもたらしています。特にスタートアップ企業は大企業が受けた影響以上に深刻な状況に陥り、倒産危機に追いやられたスタートアップが多数存在しています。
SaaSpocalypseで最も激しく売られたのは、以下の特徴を持つ企業です。
特に、リーガルテックやプロジェクト管理ツールなど、UI操作が価値の中心であるツールは「千のプラグインによる死」と呼ばれる壊滅的リスクに晒されました。
SalesforceのCEO Marc Benioff氏は、SaaSpocalypseへの懸念を明確に否定しました。 「これは私たちの初めてのSaaSpocalypseじゃない。いくつか経験している。」と述べ、 AIがビジネスソフトウェアを時代遅れにするという懸念に対し反論しました。
Benioff氏は、顧客サービスなどのタスクを自律的に処理するAIツール「Agentforce」を挙げ、SaaSはエージェント機能の向上によってむしろ強化されていると強調しました。 「SaaS-quatch(サスクワッチ)」という造語を用い、SaaSはエージェント機能の強化により、今回のSaaspocalypseを乗り越えていくだろうという見解を示しました。
さらに、AnthropicなどのAI企業もSalesforceとSlackを利用していることを引き合いに出し、AI時代においてもSaaSは不可欠な基盤であることを主張しました。
ServiceNowのCEO Bill McDermott氏は、SaaSpocalypseへの対応として、社内買い付け(3百万ドルの自社株買い)や9.5億ドルの自社株買い計画を発表しました。
一方で、McDermott氏は「AIエージェント時代に、伝統的なアプリケーションスタックは崩壊する」と発言し、企業が使用するアプリケーションの数が大幅に減少し、伝統的なアプリはコアデータベースとなってServiceNowプラットフォームにフィードされることになると主張し、改めて自社のサービスの優位性を説きました。
MicrosoftのCEO Satya Nadella氏は、2024年末のポッドキャスト「BG2」において「SaaS is dead(SaaSは死んだ)」と発言し、業界に大きな波紋を広げました。
しかし、Nadella氏の真意はSaaSが消滅するとのことではなく、 「エージェントのポイントは、特定のSaaSアプリケーションやそのデータに縛られないことにある。つまり、『タスク』や『意図』を中心に、複数のSaaSの機能をまとめてオーケストレーションできるようになるのだ」 という主張であり、SaaSは「死んだ」のではなく、AIエージェントが複数のSaaSを横断的に操作する新たなアーキテクチャへ進化するとの見解を示したかったと後に弁明しています。
2026年2月AnthropicのCEOであるDario Amodei氏とSalesforceのCEOであるMarc Benioff氏が共同で声明を発表しました。このメッセージの中で、彼らはAIがSaaSを置き換える存在ではなく、むしろSaaSを補強するものであるという見解を示し、市場の安定化を図りました。
特にBenioff氏はAIを「次の企業OS」と表現し、Salesforceの中核にClaudeを据えることで、AIが業務フローを作るコアエンジンとなることを主張しました。
また、Amodei氏は「高性能だけでなく安全性が必須」であり、特に規制が強い産業に対する慎重な導入計画を設計することが可能になる点を、Salesforceとのアライアンスの利点として説明しました。
SaaSpocalypseのパニックから得られた最も重要な洞察は、データ資産を保有する企業は淘汰されないという点です。特に以下の特徴を持つ企業は、SaaSpocalypseを生き抜く防御策を保持しており、大きな影響を受けないと言われています。
早い話が、「複雑な仕事を単純化するノウハウを保有しているナレッジベース」や「他では類を見ない網羅的で正確性の高いデータベース」を保有している企業は、提供形態のメインストリームがSaaSから他の手段に変わったとしても生き残れると言われています。
特にB2Bビジネスにおいては、データ資産が極めて重要であるとされています。 独自のデータ(設計データ、製造プロセスデータ、品質管理データ、顧客データなど)はAIエージェントを活用するにあたっても不可欠なリソースであり、最も価値が毀損しにくい資産であるとされています。
特に、汎用LLMは基本的にはWeb上などで公開されているデータから学習しており、生成AIが勝手に取得し、学習に使うことが構造上できないようなデータは、ノウハウ等の流出しやすい・人に紐づきやすい情報よりも保持するメリットが高いと言われています。
Harvey(ハーヴェイ)というグローバルでシェアの高いリーガルテック企業では、法律業界の機密データや非公開データを保有することで、基盤モデルでは代替不可能な価値を提供できています。 このように、企業内で閉じられたデータ機密性の高いデータ、特別な申請をしないと得られないデータを持つことは、企業の生き残り戦略に直結するとまで言われています。
SaaSpocalypseを理解する上で、最も重要なポイントは「どのようなシステムを構成するのではなく、どのようなデータを扱うか」だということです。 AIエージェントはたしかに仕事を最適化・省力化してくれますが、学ぶためのデータが整っていなければ何もできないという構造的特徴を有しています。企業活動に関するデータを安全に管理し、AIエージェントに提供できる企業こそが、SaaSpocalypseを生き抜くことになるでしょう。
SaaSpocalypseを生き抜くためのデータ資産は、以下の3つの層で構成されます。
クローズドデータ資産 基盤モデルが持ち得ない非公開データを持つ。 Web上には存在しない、企業内部や業界特有の非公開データや機密情報を保有すること。
プロセス資産 暗黙知となっている業務プロセスを分解・整理し、形式知化してワークフローに組み込むこと。 タスクごとの最適化を行うエージェントとしてAIを活用できること。
共進化資産 HITL(ヒューマン・イン・ザ・ループ)の仕組みを構築し、業界の専門家とプロダクトが協調しながらプロダクトの品質を向上させ続ける構造を作ること。
AIの活用においては、従来の「ツールを使いこなす能力」だけでなく、AIとどのように協業するかを前提とした業務フロー全体を設計する能力が重要になります。 業務手順書などのデータを棚卸し・整備した上で、独自データと掛け合わせ、AIエージェントが活用できる形に構造化し、業務プロセスに適合させる設計が求められます。
SaaSpocalypseは、SaaS業界の終焉を意味するのではなく、AIネイティブ(SaaS 2.0)への構造的転換の始まりであると捉えるべきです。この転換期において、企業を淘汰から守るのは、どのようなシステムを構成するのではなく、どのようなデータを保有しているかです。
AIエージェントがどれほど進化しても、独自性の高いデータを保有する企業は、AI時代においても不可欠な存在であり続け、むしろAIエージェントが普及することで、データの資産価値は一層高まることとなります。
AIエージェントがソフトウェアの「使い方」を根本から変えるという構造転換が起き始めている昨今では、データ資産をAIエージェントと共存・共進化する戦略を持つ企業こそが、新たな成長の機会を掴むことができるとされています。
ユーソナーでは日本国内企業を網羅的にカバーしたデータベースを保有し、名寄せ・統合された企業ならびに企業グループのデータを自社独自の企業判別コードを用いて提供しています。「企業単位でデータを正しく管理できる」「アカウント管理に最適なデータセットを提供する」ことを変わらない価値として提供し続け、AIエージェントとの協調戦略も打ち出しながら、これからも顧客企業様の営業やマーケティングにおける課題に向き合って参ります。
この記事を書いた人
ユーソナー編集部
MXグループ・編集長
ユーソナー編集部です。
主にBtoB事業を営む企業様に向け、これからの業務のあり方を考える上で有用なデータ活用やデジタル技術に関する情報を発信しています。
ユーソナーは業種・業界問わず
様々な企業において活用いただいております。


























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