BLOG BLOG 本「データ・ドリブン・マーケティング」の事例から読み解く。顧客データ志向のマーケティングとは?

2017年05月18日

1.データ・ドリブン・マーケティングとは?

データ・ドリブン・マーケティングとは、データ志向のマーケティングです。
ここでいうデータとは、顧客に関するデータを指します。データ・ドリブン・マーケティングは、非常に広義な言葉です。
ここでは、本「データ・ドリブン・マーケティング」を引用しながら、データ志向のマーケティングとは何なのか?について考察してみます。

2.本「データ・ドリブン・マーケティング」から学べることとは?

2017年4月9日ダイヤモンド社から以下の本が発刊されました。その名も「データ・ドリブン・マーケティング」です。

マーク・ジェフリー氏著 データ・ドリブン・マーケティング

①著者は?
著者はマーク・ジェフリー氏です。ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院で非常勤教授を務めています。
また、エグゼグティブMBAコースで「戦略的データ・ドリブン・マーケティング」の講座を担当しています。

②本「データ・ドリブン・マーケティング」の注目すべき内容とは?
著者マーク・ジェフリー氏は、フォーチュン1,000社のうち252社の戦略的マーケティングを調査しました。
その調査結果ならびに1社1社の事例を課題、解決方法そして結果/成果という形でまとめています。

③本「データ・ドリブン・マーケティング」から学べることは?
データ・ドリブン・マーケティングを実行するにあたって、設定そしてモニタリングする指標を「15」個に絞っています。
ブランド認知、見込客創出、そして既存顧客のロイヤリティ向上まで含めて「15」個の指標を推奨しています。
さらに、この「15」個の指標ごとに事例を展開しているため、読者は自社のマーケティング課題として気になる指標から理解することが可能です。

ぜひ、データ・ドリブン・マーケティングについて、そして15個の指標を勉強したい方は、手にとってみてはいかがでしょうか?

3.データに基づく意思決定「5つ」の障壁とは?

本「データ・ドリブン・マーケティング」では、データに本づく意思決定を阻む原因として、5つの障壁をあげています。(34ページより)

①何から手をつけていいのか?わからない。
②因果関係が不明。
③データ不足。
④経営資源やツールが不足。
⑤組織や人の問題。

データ・ドリブン・マーケティング、すなわちデータ志向のマーケティングを展開するにあたって、範囲が広いため①の何から手をつけていいのか、わからない
という事業会社の方も多くいらっしゃるかもしれません。

4.5つの障壁にどのように取り組むか?

わたくし自身、この本「データ・ドリブン・マーケティング」を読んで良かったところ、それは「事実」「事例」が適宜紹介されていることです。
たとえば、5つの障壁のひとつめである「どこから手をつけていいのか?わからない。」については、シンプルに「Quick Win」をつくりなさいといっています。
いわゆるスモールスタート、スモールサクセスです。
事例として、ドラッグストアーチェーンのウォルグリーンズ社を引用しています。
既存顧客と自社店舗の相関を分析(エリアマーケティング)して、新聞の折込広告の出稿金額を合理的に削減した取り組みです。
約7,000店舗あるウォルグリーンズ社の取り組みで注目する「Quick Win」とは、全ての地域、店舗で実施しなかったことです。
エリアマーケティングを通じて広告費を合理的に配分したいという理解力あるエリアマネージャーだけに
「限定」して取り組みをスタートしたことがポイントです。

5.データ・ドリブン・マーケティングの戦略立案のためのフレームワーク

本「データ・ドリブン・マーケティング」では、フレームワークが提示されています。(29ページより)
顧客データを活用する前に、「自社を知る」「顧客を知る」「顧客をセグメンテーション」するという キーワードの記載があります。
このフレームワークを観察すると多くの方が 「一般的だよね?」「普通なことでしょう?」という感想をお持ちになるかと思います。
わたくしも同じ感想でした。
しかしながら、忘れてはいけないことは、著者がフォーチュン1,000社のうち 252社のマーケティングを調査したということ、
そしてそのうえで、このフレームワークが開示されているということです。

データ・ドリブン・マーケティングの戦略立案フレームワーク

6.マーケティング投資を優先する顧客を誰にしますか?

本「データ・ドリブン・マーケティング」の第6章のタイトルは以下です。

『すべての顧客は等しく重要・・・・ではない。』

すなわち、御社の顧客すべてを同一に扱ってはなりませんと説明しています。
なぜなら、御社の利益に現在貢献してくれている顧客、御社の利益に貢献してくれていない顧客と2種類存在するからです。
198ページでは、顧客の利益貢献金額と利益率の2軸で「顧客」を「管理」する取り組みについて説明しています。

データ・ドリブン・マーケティング。CLTV・利益率2軸の戦略マトリクス

ポイントは、御社の利益に貢献してくれていない顧客に関する取り扱いです。
①現在の利益率が低い顧客管理について(4象限の左側の2マス)
取引を中止することはよろしくありません。
なぜならば、将来の新規の顧客に対してネガティブな影響をあたえるかもしれないからです。
この顧客層については、リスク管理ならびにコスト削減の方向性を推奨しています。

②利益率は高いが取引額が小さい顧客管理について(4象限の右下の1マス)
右下の顧客層こそ興味深い存在であるといっています。
この顧客層は、利益率こそ高いが利益貢献額/取引額が小さい顧客層のことを指しています。
このような顧客が発生する原因は、取引が一過性であり持続性がないためです。
したがって、関係性を維持して、別の商品/サービスを案内する機会を探すことを推奨しています。

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データ・ドリブン・マーケティングとは、顧客データを収集し、集計/分析して、次の施策に生かすマーケティング活動です。
最初の一歩目をどのように踏み出したらいいのか? という問いに対して
本「データ・ドリブン・マーケティング」は、共感そして実行しやすい言葉を授けてくれました。
それは、「Quick Win」/小さく始めようという内容でした。

当社/株式会社ランドスケイプは、データベースマーケティングの支援を行っています。
「データ・ドリブン・マーケティング」のフレームワークである「自社を知る」「顧客を知る」。
「顧客」に関する情報を別の角度から分析してみるのはいかがでしょうか?
御社の利益につながりやすい顧客はいったい誰なのか?どのようなセグメントなのか?
ぜひお気軽にご相談ください。