BLOG BLOG DMA2013 in シカゴ

2013年10月31日

 

ランドスケイプ調査チーム長澤です。10月12日(土)から17日(木)、シカゴで開催された米国ダイレクトマーケティング協会(DMA)年次大会&展示会に参加しました。

DMAはニューヨークに本部を置く、世界で会員数3,000を超える世界最大のダイレクトマーケティング交流・教育機関です(1917年設立)。ランドスケイプも加盟しており、今回、DMA日本代理事務局・ダイレクトマーケティングジャパン株式会社主催のツアーに参加する形で展示会の視察、基調講演の聴講、企業訪問を行いました。http://dma13.org/

12.png基調講演ではアメリカ大統領選結果を全50州的中させた統計専門家ネイト・シルバー氏/30年のダイレクトマーケティング・25年のデータベースマーケティングのキャリアを持つペッグ・ナドラー氏/アメリカを代表する百貨店の一つで、ビッグデータを用いたCRMを成功させたMacy's のジュリー・バーナード氏/DMAの教育を担当するジーナ・スカラ氏 等から、データ分析からマーケティングへの活用まで多岐にわたる内容を聞きました。

ビッグデータを活用しどのように顧客に近づき顧客のロイヤリティを高め収益を上げているのか、各種チャネル(DM、E-mail、web、スマートフォンなど)をどのように利用するか等マーケティング手法について、それぞれのマーケターの現実が垣間見えるリアルな講演内容となっていました。
以下、いくつかその内容を抜粋します。

"データ分析による適格予測モデリング" ネイト・シルバー氏(FiveThirtyEight.com創設者
ハリケーンの進路・株式市場など、統計を用いた予測はあらゆるところで使われている。統計は大きな力を持っているが限界もある。ビッグデータの時代、情報が大きくなればバイアス(偏り)が増えること、インプットが多くても予測には限界がある事を、事例を交えて説明する。(「衛星情報を用いた最新のGPSカーナビでも道を誤る」等)
また、道路工事があってもタクシードライバーなら勘で正しく進めるように、人間には直感がある。
統計には限界はあるが、正しい姿勢で取り組むことで直感を活かす分析が可能になる。
1:限界を知る 
2:背景・前提を確認する 
3:ノイズを除きプロセスを洗練(Refine)する

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 "Ensuring Database Success" ペッグ・ナドラー氏(Pegg Nadler Associates 代表
様々なツールが次々と出回り目移りする状況だが、マーケティングが成功するか否かはその企業が課題をいかに明確に把握しているかにかかっている。優れたマーケター(人材)が企業の課題を明らかにし、経営TOPのサポートを引き出し、課題に見合ったツールやDBの導入を的確に検討する必要がある。特に、適切な人材"マーケティングエキスパート"が必要。IT技術者の主導で、ツール選びなどの手段から入るのは誤りのもととである。
マーケティング成功の5key
1:課題を明らかにする
2:適切な人材
3:すぐれたDBチーム 
4:経営TOPのサポート 
5:テクノロジー(統計技術やツール)
"マーケティングエキスパート"は
1:ビジネスソリューションを考えられるマーケターであり
2:統計力がありモデルが作成でき
3:政治力があり経営者からの支援を引き出す調整ができ
4:IT技術者ではなく、技術分野と独立した立場で技術進化を把握し公平にベンダーを選択できる人物である。

成功例)雑誌制作・印刷企業
・マーケティング担当・チームは無かったが外部の専門家と契約
・専門家はデータ管理・分析をDB分析専門企業に依頼
・現実的な回収目標(3年)
・具体的な目標(web・E-mail売上UP30%
           郵便も残し売上UP5%)
→1年で回収、3年でROI200%達成

企業訪問では世界に2,000社を超えるクライアント持ち、マルチチャネルに対応したデータベース主導型デジタルマーケティングサービスを提供するEpsilon社を訪れました。CMOマイケル・ミラー氏よりBig Dataを超える"All Data"を用いたソーシャルマーケティングによっていかに顧客の生活に密着し、ロイヤリティを高めていくか多くの事例を交えて紹介を受けました。

ソーシャルメディア を持つ企業は90%
ロイヤル顧客になるきっかけ
 77% 安くなるチャンスを得る
 46% 問題解決する
 39% フィードバックする・話し合える
 28% エンターテイメント より上級なコンテンツにアクセスできる
 26% 新しさ 新アプリなど

今回DMA2013で、テクノロジーに踊らされず適切なビジネスソリューションを提供する為に、「構造化されたデータベース」と、「マーケターの"勘"を含めた人の力」がいるということを実例を交えて知ることができました。
(技術の限界を知った上でビックデータの活用する・ツール選びから入らず企業の課題を明確にする)
750万件の企業データベース・LBCの構築・維持・運用がランドスケイプでの自身の業務となりますが、ともすれば日々のデータ運用といった"手段"に意識を奪われてしまうこともあります。ですがマーケティングの課題は「誰に」「何を」「どのように」的確に提供し、収益を上げていくかということ。ただツールであったり、データであったりを提供するだけではなくソリューションを提供し、お客様の顧客のロイヤリティを高めていくお手伝いをしていくこと。様々な角度から改めてその重要さを実感した4泊6日でした。
このような機会を与えてくれた会社に感謝し、お客様に還元できるよう努めます。

<シカゴについて>
広大な平地・穀倉地帯を擁するシカゴは、夏は40度を超える暑さ、冬は氷点下10度を超える寒さで風が強く、「風の街」と呼ばれます。当日は例外的に温かく最低気温7度から最高気温15度程度の過ごしやすい気候で快晴のもとでの視察となりました。到着翌日はシカゴマラソンが開催され、街は爽やかな活気に包まれていました。1920年代からの歴史的な高層建築と数々の博物館施設に囲まれた中に現代的な高層ビルの摩天楼がそびえ立つ、歴史と文化の街です。

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左:2本角のビルはアメリカで2番目に高いウィリス・タワー/右:シカゴ美術館